ハバナのインターネット事情と生き延びるための奮闘

2019年3月13日(水)
Cuba Havanaキューバ ハバナ にて

日が昇り始めて、かすかに明るさを感じたタイミング。そこでテントの外に出た。

テント

カバーニャ要塞と灯台の間にハバナの街と、激しい往来が見える。
黒煙を上げて走るボロボロのバス、モダンな乗用車、古い映画でしか見たことないような派手なクラシックカーが入り混じっている。

未明の沖合のフェリー

テントについた夜露を乾かすために、開いては数分待ってたたむようにしたけど、さすがに完全には乾かないか…うをああああ!!

サソリ!

サソリいんのかよ!怖え!

草むらの中のサソリ

芝生気持ちいい〜蚊もいないし〜っつって昨日の夜テント張る前に1時間半くらい寝っ転がって寝てたけど、危なかったじゃん!

やたらこっちに向かってくるサソリから逃げながらテントをバックパックの中に慌ててしまった。

明るくなる街並み

カバーニャ要塞の入り口、ゲートは半開きだった。
入り口のガラの悪そうなお兄さんに尋ねたらオープンは10時とのこと。
まだ結構時間あんな…。
値段は6ペソつまり約6ドル。高いな〜。

クローズは?と聞いたら、号砲が10回鳴ったらだよ、とのこと。

わかんねぇわ。
たしかにたまにドーンって鳴るんだよな。
毎時ってわけじゃなさそうだ。

歩いて反対側の、フェリー乗り場方面へ。カサブランカって地区だったかな。

並ぶ砲台

博物館かな。

キリスト像

キリスト像。

朝日が当たるハバナの町

停泊する豪華客船

朝日に照らされたハバナ中心街。
ボロボロだけど、高さもある建物。
黒々とした煙を上げている煙突、沢山の観光バス、要塞のような石壁、豪華客船。
どこかで見たことあるような、そんな風景。

 

全身茶色く汚れたボロをまとった青年がクワを担いで通り過ぎる。

空にドローンが飛ぶ音がする。

半世紀前からタイムスリップしてきた青いクラシックカーが唸り声をあげて脇を走る。

小綺麗なランニングウェアを着た女性が息をあげながら走っていく。

時空の狭間に迷い込んだみたいだな。

 

1人の少年が声かけてきた。流暢な英語だ。
「どこから来たの?」
「日本だよ。」
「カンディ?」

漢字?
「おー、漢字、知ってるの?」(^_^)

ポケッとする少年。
耳にしたことのある単語を繰り返しただけかな。

 

そのまま去ろうとしたから、英語話せるならとついでにちょっと聞いてみた。

「反対岸に向かうバスってどこから乗れるか知ってる?」

「そこのエスカレーターを下に降りると船があるよ」

あ、例のフェリーか!

「値段わかる?」

「1ペソ。」

それなら安い!(^o^)

「カンディ。カンディ」

何かを食べるそぶりをしながらそう言う少年。
あぁ、もしかしてキャンディ?

お菓子なんてなんももってないぞ…あったらとっくに俺が食ってるわ…腹減ったな…

…あ、いや、確かのど飴が残ってたはずだ!

確認したら2粒あった。

「日本のじゃなくてアメリカ産のやつだけど、あげるよ」

何も言わずに受け取ってすぐに食べる少年。

「それは?」

カバンからはみ出してたプラ袋を指差す。

「歯ブラシだけど」

「あぁ…そっちの袋は!?」

「これは薬。」

「見せて!」

「胃薬とかだよ」

「なーんだ」

一体何を期待してるんだ。

「それ1つちょうだい」

絆創膏を指差す。

「これ?笑 いいけど」

「Thank you」

絆創膏欲しがる子供って初めてだなぁ。
結局その子は俺が大したものを持っていないと分かって何も言わず他のところへ歩いて行った。

高台から景色を眺める観光客たち

さて。

エスカレーターなんてあるわけないので、ボロボロの階段で水際まで降りていった。
港らしいものはない…

屋台があって、コロッケを揚げて売ってた。 俵形の小さいやつ。
看板には1ペソって書いてある。 多分現地価格だから、1個20円か。

「おはようございます!コロッケ2個ください」

「…」
ブスッとした表情で頷く太ったおばさん。

揚げたてを2つ、紙に乗せて寄越した。

コロッケ

「CUCだと、0.40ですか?」

「ドス」

2ペソ?
いやいやいや、高いでしょ。

「ドスペソス。」

お金を渡してもお釣りを寄越すそぶりなくしかめっ面で新しいコロッケを油に放り込んでる。

嘘だろ…この小さいコロッケが1個1ドルかよ… それだけ美味しけりゃいいけど…
かじってみた。

うえ、揚げたてなのにマズイ…!

くそっ、なんで俺2個も頼んだし…
まだ2ドル分損した。

悔しいし無駄に出来ないのでハフハフしながら胃に詰め込む。

 

道端でフェリー乗り場がどこかおじさんに尋ねたら、そこだよ、と教えてくれた。
隣のボロボロの平屋を指さして。

ここ、ね。

フェリーターミナル

中に入ったら確かに受け付け風の人とカウンターがあった。
簡単な荷物チェック。

時刻表

だいたい30分に1本出てるらしい。
乗り込む時に1ペソ払った。
ここではちゃんとCUCもぴったり集金してお釣りも出してくれる。

船に乗るところ

船に乗って10分もしないうちに対岸に着いた。
トイレを借りようとしたら有料らしい。じゃいいや。もうしばし我慢。

港近くの綺麗な建物

小綺麗な広い広場

路地に入った。

たまーにお店が現れるけど、値札とか看板とかそんなものはなくて、廃墟の中のカウンターに人が立ってて、その人に欲しいものを言って持ってきてもらうって仕組みのよう。

背後の棚にあるものが瓶詰めだったり、大きなパンの塊だったり洗剤のボトルだったりする。
食べ物買いたいのにな。
一体どこ行けばまともに買い物できるんだ。

 

繁華街に近づいてようやく近代的なカフェがズラズラっと現れた。
ギャップが凄すぎる。

「コーヒー、朝食いかがでしょうか!」

「アメリカン1杯いくらですか?」

「2ペソですよ。こちらのお席へどうぞ!」

「CUCですか?」

「ええ、そうですよ?ではこちらに」

「いや、いいです…」

物価たけーよー!キューバ!
空港の売店では激安だったのに!
このクレジットカード危機の中でアメリカ並みの物価は死活問題だよ。

くそー、このタイミングでキューバ来んじゃなかった…

他の店を探しても、観光客向けのピッカピカなお店と、何も買えそうにない現地民向けの廃墟のショップしかない。
フリーWi-Fiなんてものも飛んでない。調べることも出来ないか…

アイスクリームワゴン

途方にくれて広場で座ったら移動アイス屋さんがやってきた。

歩いてる観光客のほとんどが欧米人のお年寄りツアー団体。
たまに中国人カップルがいる程度。

1個2.5ペソの欧米価格アイスクリームが大繁盛してる。

うー。俺もそろそろどこかで水を仕入れないとヤバいな。
水道無いんかな。多分水道水は飲めない気がするけど。

露店の果物屋

リアカー販売の野菜果物屋さん発見!これなら多分安く食糧が手に入るはず!

「バナナとトマト、いくらですか?」 「どっちも10だよ」

ってことは、2つで20、×5倍で、1ペソ。どちらも55円てところか。

うーん、やはり日本の田舎とかとさして変わらない。
メキシコの方がダントツで安かったな。

 

バナナを食べてるとおばさんが話しかけてきた。
なんて言ってるか皆目分からんけど、バナナを寄越してみろ言ってるようだ。
なんだろう?

食べかけのバナナを手渡すと、当たり前のように最後の一口を食べやがった。

えーー(´Д` )
俺のバナナをおおお!!キサマああああ!!!

しかもずっと「私お金ない私お金ない」みたいなこと言ってる。

知らねーよ!俺だってないよ!

コノヤロウ!
人のバナナ食いやがったんだからせめてどこで水を買えるかの情報くらい教えてください!

「ちょっと待ってなさい!」
そういって俺の空のペットボトルを持ってどこかへ消えるおばさん。
まさか空のペットボトルまでくすねないよな…?

数分後に戻ってきたらやや冷えた水を持っていた。

おー!やるやん!

ペットボトルに補充された水

「お金ちょうだい!!お金!!私お金ないんだから」

あああやっぱりウザいいいい!!

そうは言えど、安く買っても45セントした水だ。
細かい5セントコインがたくさんあるから、5枚全部、25セントあげた。
そのコインを握りしめておばさんは嬉しそうにどっかへ消えた。

はぁ、いちいち疲れるな…

 

フリーWi-Fiがあると思われる公園を見つけた。
やたら大勢が集まって携帯を使っているからここだと分かる。

で、飛んでるフリーを捕まえてみても、ログイン画面が出てくる。

うーむ、よく分からない。
ヘルプまで細かく読み込んでいくと、なにやらカードが必要、とある。
なんのカードだ…

とりあえずここでは使えないとわかったから、昨日WiFi飛んでいるのを見た、サラトガってホテルの前に移動した。

ここでも何人かの若者が座り込んでスマートフォンを使っている。

レッツトライ。
あー。
ここも同じログイン画面が出てきてしまった。
頭打ちだ…
途方にくれる…

 

暑さと腹の調子の悪さ、それに荷物を全て持って歩いている疲労が積み重なって思考を妨げてくる。

公園の真ん中の木の下で仰向けに寝転がった。
あー、なんかフルーツみたいなのがなってる。
腹減ったな〜あれ食えたらいいのになぁ…。

木になった実を見上げる

寝てたら1人のおじさんが声をかけてきた。
綺麗な服を着てるからホームレスではない。

「この近くでハウスをやってるんだ。1泊15ペソ。どうだい?」

こっちはホステルみたいな交渉制の宿をCasaと呼ぶので、
英訳するとハウスになる。
違和感ある訳なんだけど、まぁ仕方がない。

「すみません、お金ないんで…」

「わかった、朝食なしの狭い部屋なら、10ペソもあるよ」

「いや、宿に当てられるお金がないので、テントに泊まってるんです」

「そうなのか…。じゃ仕方がないなぁ。」

 

「…ところで、インターネットって、どこで使えますか?」

「サラトガの前で使えるよ。カードが必要だがね。」

「そ、そのカード!どこで手に入ります?」

「あそこのビル、あれが電話会社だ。あそこでカードを買うんだ。」

光明!!

「ありがとうございます!」

速攻そのビルへ向かった。

中華風の門

ネット会社の建物

古い、タワービルディング。
色あせた中華街の門をくぐってビルに入ってった。

「そこのラインに並びたまえ。価格?1時間1クックだ。」

「1…なんて?」

「1クック。」

…1CUC、か!
プリペイドカードってことになるんだろうか。
ネット1時間限定使うのに約1ドル?やはり高っ…。

 

列に並ぶこと、40分。
気が狂いそうでござる。

 

部屋の中に入れた。中で待つこと5分、ようやく順番が来た。

どうやら1時間使えるログイン用パスの書かれたカードを買う仕組みだ。
1時間っていうのは開始してから断続的に使えるやつ。
だから例えば10分を6回に分けることも可能だ。
最初の接続から30日間はログイン出来る。

1人当たり一度に購入できるのは3枚までらしい。
使い切ったらまた並ばないといけないのだろうが、とりあえずカードの問題が解決すればさほど重要ではない。

無事3枚購入して、再びサラトガ前に戻った。
ちなみに買った後にトイレ借りられるか尋ねたら食い気味でNoを頂戴した。
なんて冷たい対応だ。

3枚つづりのカード

路地と往来

サラトガ前でログインするのに格闘すること30分。
やはり出来ない。おそらく電波が弱いからだな。

再びさきほどの公園へ戻った。
地図上にはConvento de Santa Claraと記されてるささやかな公園。

ログイン画面。

ここでようやく!ネット開通!
なんだろうこの安心感!涙出そう!

事前に立てていた計画通りに素早く情報収集と、書きためた文を叔母にコピペ送信!
こっちのインターネット事情と、予想以上の出費ペースを伝えてSOS!あと2日くらい以内に解決されないと最悪の状況になる。

あ、日本はまだ深夜か。
そっか、時差がメキシコから2時間も追加されたんだな。15時間も差がある。

楽天カードの限度額を回復するための方法として、繰り上げ返済を計画した。
ただし本人が電話して依頼するってのが条件。
それは無理。

なので、信頼の置ける叔父に代理(影武者)を頼むことになった。
必要な個人情報からカード情報まで全て伝えてある。

楽天カードプレミアムカード、ゴールドカードは連絡先が違うみたいなのでその番号を追加で連絡。
これであとは日本の朝が来て当日中に動いてもらえれば、
こちらの明日中にATMで現金引き出しが可能になるはずだ。

頼むぞ!

 

これで限度額繰り上げ返済が却下された場合。
考えられる結末は4パターン。

  1. 野垂れ死にパターン。
    コジキをしてもカードが復旧する29日まで生き延びられる可能性は限りなく低い。
  2. 日本人旅行者を探し出してお金を借りるパターン。
    丁寧に説明すれば可能性は有り。
    ネットバンキングで相手の口座にその場で振り込んで、その分を現金で頂く。
    両替所が少ない上に1時間とか並ぶことがザラらしいので、相手に迷惑をかけてしまうのがデメリット。
  3. 大使館に駆け込むパターン。
    どこかに日本大使館があるはず。
    事情を説明すれば、日本への帰国は手配してもらえるかもしれない。旅終了。
  4. キューバから前倒しで脱出し帰国パターン。
    ウェブ上から新たに航空チケットを購入し、日本へのダイレクト帰国、旅終了。
    ウェブ決済は可能なので。20日のメリダ行きチケット(18000円)は捨てることになる。

 

ふむ。どれもエゲツないけどこうやって一覧にするとやる事が明確になって少し心がスッキリするな。

調べた中で嫌な情報があった。
「キューバの水道水は飲めない。集団食中毒の記録もある。市販の水も、水道水を詰めただけのダミーの可能性もある。」

うーわ…
さっきのオバハンがどこからか汲んできたこの水、高確率で水道水や…だってマズイもん…。

 

公園の横に、水とジュースを売ってる小さな販売店を見つけた。
店内を見ると、キチンとしたビニールに包まれた12本セットの水ボトルがあった。

よし、これは多分セーフ。
値段も1.5リットルで1.50ペソと妥当!

安心できる飲料水を得たことでまた生き返った心地がした。
細胞に水分が取り込まれていくのが分かる。
飲んだ直後からグルグルと鳴る腸。
うぅ、トイレ行きてぇ…

が、我慢我慢。下痢で出てしまうと脱水になる。
胃腸炎の菌はほぼ出きっているはずだから、無理に排泄する必要もない。
腸に留めて置ければ、少しずつでも水分を吸収できる。

ってかなんでまだ下痢続いてるんだよおおおおおチクショーーーー!!

キューバのライスクラッカー

さっき小さな商店を見つけてなんとか買えたトマトサーディンの缶詰とライスクラッカーで昼ごはん。
夕飯もこれで兼ねる。

あとはケツに力を入れたまま無心になって公園で本を読んだ。

 

紫外線と赤外線はミトコンドリアの活動を正常に保つのに重要なためLEDや蛍光灯に当たりっぱなしでいることは身体に悪く、毎日太陽光に当たる必要があり、
…ふむふむなるほど…
その太陽光が背中と腕を今まさに焼き焦がそうとしているのですが。

皮膚ガンへの影響と全身のミトコンドリアの不調、どちらが生命に対して危機的なのか、そのあたりの比較が欲しいところだ…

 

あ、暑い…。

動く太陽に合わせて場所を変えて日陰に移動し、
公園でサッカーをする子供達の飛んでくるボールを交わしながら19時まで延々と読書をした。

 

流石に腹が保たないため、途中で安そうなレストランバーに入った。

キューバ産コーヒー、1ペソを頼んでトイレ!!

た す か っ た。
半日ぶりのトイレ。

机の上のコーヒー

コーヒーはエスプレッソ。あ、うまい。

WiFiもあるし、なんと電源も使わせてくれた。
めっちゃ助かるううううう!

といっても、結局ネットが使えないので電池はそこまで消耗してないんだけどね。
充電器の補充分もあるし。

流石にコーヒー1杯で粘るのは失礼だし、ハバナだし、
ということでモヒートを1杯、追加で注文した。

キューバリブレとかなり悩んだけど、どっちもは取れない。
確かモヒートはハバナ発祥のカクテルだ。しっかり楽しもう。

グラスモヒート

思ったよりミント感は弱め。
でもラムの香りと甘みがしっかりしていてエネルギッシュに感じる。
暑い一日だったからめっちゃ染み渡る。
胃腸に優しくはないんだろうが。

 

店員さんもほどよい距離感で居心地が良い。

「大変だったんだな。ゆっくりしていきなー」と言ってくれた。

 

さて、そうはいってもずっとここには居られない。
外もすっかり暗くなったし寝る場所を探さないといけないからボチボチ出よう。
丁重にお礼を言って再び外へ出た。

なんだろう、ちょくちょく物乞いはいるけど、治安の悪さは感じないんだよな。
観光都市だからだろうな。
昨夜とは違う方面に向かおうと、フェリーに乗ることに決めた。
ハバナの中心地に居ちゃさすがに野宿できない。

オールドタウンのテラス席

オールドタウンスクエアを抜ける。
お洒落なレストランのテラステーブルには裕福そうなオジサマオバサマ方がのんびりとお酒を飲みながら談笑している。
腹減ったなー。

 

路地を抜けて少し内海のバイーナ・デ・ハバナ沿いに歩いていくと簡素なフェリーターミナルが見えてきた。
今朝降りたところと似ているけど、向かう方面はレグラ(Regla)というエリアだ。
そっち方面は地図で見たところ特に何の観光名所もないため地元民向けの公園なんかが見つかるに違いない。

暗いターミナル

すんなりチケットを買って、数人の地元民らしき人々と船に乗り込んだ。

 

さてReglaに到着。
特に何があるわけでもない。
外に出ると、相変わらずボロボロの町。
倉庫が多いエリアのようだ。

降りた人々はみんなオレンジ色の街灯の下を歩いて一人一人と路地へ消えていった。

大きめの通りをまっすぐ歩いていたが、地図を見ながら何となく開けた場所や、緑色が見える場所に向かって方向を変える。
想像以上に公園がない。
店もない。
倉庫が点在する住宅地といった感じ。

 

遊びが全然ない。
色合いも造形も、多様性もへったくれもない。
デザインというか、嗜好性のようなものだけが抜け落ちた、出がらしのお茶のような、雑巾のような雰囲気。

貧しいエリアで同じようなボロボロの建物が並んでいる様はメキシコやチュニジアと共通しているが、そこからさらに「面白み」を抜き取ったような感じだ。

社会主義だとこうなる、ってことなのだろうか。
ロシアも確かにボロボロだったけど。また何か違う空気だよな。

 

思い返せば、公園などネットが手に入る場所には若者が集まって携帯で何かしていた。
ゲームなのか、調べ物なのか、音楽を聴くのか、仕事なのか、勉強なのか。
これだけ娯楽の要素が少ないと、ネットの世界はパラダイスだろう。
なんとかしてお金を手に入れてインターネットカードを手に入れられれば新しい情報なりを仕入れられる。
地元民としても、この閉ざされた世界の中ではネット環境が精神の生命線なのかもしれない。

無機質な壁が続く大通り

住宅街を抜けて大通りに出た。

橙色の電灯が、がらんと開けたアスファルトを照らしていて、そこを古い車が黒煙を上げながらたまに走り去っていく。数は少ない。
テントを張るための、スペースだけはあれど、でこぼこのアスファルトやがれきばかり。
しかも道路わきの吹き曝しなのでめちゃ目につく。

どこかに公園は無いか、と道路沿いを黙々と歩いた。

 

しばらくすると傾いたバスケットゴールのあるバスケットコートが見つかった。
簡易的なものだ。
ようやく「遊び」のオーラを見つけられたぞ。

ちょうどそのコートの脇には僅かな土があり、また崩れかけた壁があったので道路からも多少の影になっている。
人影もない。
素早くテントを開いて潜り込んだ。

 

割れたコンクリート片が散らばっているので、中に寝転がってもごつごつして痛い。
明日は人が出てくる前に早めに起きて片さないとな。

横になると疲れがドッと出てすぐに寝落ちした。

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