2019年3月12日(火)
Mexico Mérida 〜 Cuba Havana
メキシコ メリダ 〜 キューバ ハバナ
ドミトリーの二段ベッドの上、携帯のアラームが鳴った。
止めて、起きた瞬間に強烈な便意!
速攻でベッドから飛び降りてトイレにダイブ!
いや、ダイブはしてないか。
胃が気持ち悪いいいい。痛くはないけど気持ち悪いいい。
下痢もなかなか治らないし、胃腸炎長引いてんなぁ。
昨晩寝る前なのに食べてしまった超まじぃホットドッグに激しく後悔だ。
今日はキューバ行き!昨日急遽航空券を取ったのだ。
まだ6:00。ドミトリーでみんなが寝ている中で静かに荷物をパッキングする。
考えてみたら国境越えするわけだから、ナマモノは持ってけないぞと思い出した。
ほんの少し残ったオリーブオイルと、割高だった未使用のニンニク丸1個をキッチンのフリーフードに献上して、持ってたアボカドはマヨつけて食った。
これでヨシ。
あとパレンケ闘病中に闇堕ちした悲惨なパンツ君は水洗いしたままになってたけど、バイオテロの震源になる有望な可能性を感じられたので、
硬く縛ったビニル袋に包まれてゴミ箱行きの決議を下された。
ゲンさんは爆睡中。
朝弱いって言っていたし、そっと去るとするか。
明日ハバナに来るってことだから、どこかでまた会うかもね。
チェックアウトをしたときに、衝撃の告白がなされた。
昨日出来たと思った、延長した宿代のクレジットカード決済が不完了だったらしい。
じぇじぇ。
想像したくないけど、これはおそらくまた限度額の問題では。
ともかく現金支払い。
そうだと思いつき、処遇に困っていた新しい相棒とコート、寝袋は宿に1週間置かせてもらうことを頼んだ。
一応OK!
「快く」の冠詞はつけられないけど!
空港で追加の手荷物として払わなきゃならなくなる可能性が高かったから、有難い!
新しい相棒だけは結構持って行きたかったんだけど。
あ、バケツね。
なんか名前つけたほうがいいかな。
メアリーでいいか。
また来週会おうなメアリー!
スタッフさんから教えてもらったすぐ近くの場所でバスを待つこと10分。
サンセバスチャン公園の横だ。
ほぼ時間通りにボロボロのローカルバスがやってきた。
空港直通ではなく、近くを通るってだけのローカルバスAstacion 79番。
7.50ペソ(約43円)で15分くらい。
メリダ空港前の並木道路近くで降ろしてもらった。
荷物預けチェックインの長蛇の列に並んで、無事チェックイン完了。
飛行機の中で無料でもらえると噂だったツーリストカードだけど、チェックインの時にこんなやりとりになった。
「キューバのビザは持ってますか?」
「持ってないです。ツーリストカードが必要なんですよね」
「そう。持ってますか?」
「ないです。」
「ではこちらで買わないといけないですね。」
という流れでツーリストカードを購入することになった。
代金は350ペソ。
カード払いも可能らしかったけど、案の定カードが使えなくなってるので現金で支払った。
とりま、これで不法入国は免れたわけですな。
メリダ空港には普通のBusiness LoungeとCoral business Loungeがあって、
プライオリティパスが使えるのはCoralのほう。
どちらもセキュリティ検査の前にあるから、
うっかりゲート内に入っちゃったらラウンジを使えず待ち時間を無駄にすることになる。
コーラルラウンジ!
運良く貸切状態!
食べ物は食パン、パウンドケーキ、フレッシュフルーツ、ヨーグルト、ひとくちブリトーとひとくちサンドイッチ、それにグラノーラ。
飲み物は缶のジュースとなにかの赤いフルーツジュース、ミネラルウォーター。
あとは頼めば色々ありそう。酒とか。
いっつも飛行機を使うのが朝ばかりだから全然アルコールは楽しめてないな〜。
結構ご当地の良いお酒が色々あるのに。
カフェラテとフルーツとブリトーで朝ごはん。
ハムとチーズだけなのにブリトーめちゃうま!!
ここの良いWi-Fiを使って日本の叔母に電話した。
カードの件だ。
前もって楽天カードのサイトを確認したら、
去る12日を以って2ヶ月限定の限度額引き上げ期間が終了していた。
その際の限度額以上の使用分が全て今回の限度額内に乗っかってしまったために使用可能額が0円になってしまっていたのだった。
そうと分かっていれば、使えるキャッシング枠いっぱいまでのあと50000円くらい引き出しときゃよかった(T-T)
カード送付をメキシコの次に行くベリーズ宛にお願いできないか、叔母に今一度郵便局に問い合わせて貰いたいのだ。
で、会話の流れで、カードを送付するよりも、前払いしちゃえばいいじゃん、ってことに。
いや、前払いするには電話で申し込みしないといけないけど、俺電話できない。
→じゃ日本でだれか代理を立てて電話して貰えばいいじゃん。
それもそうか。
いや、振り込みの場合、カードが必要なはず。メイン口座のカードは俺が持ってしまってる。
…でも他の口座のカードや通帳類なら実家にあるから代わりにやってもらえる。
待てよ、サブの口座には払えるだけのお金が入ってない。
→じゃその分は建て替えて入金するから、帰国したら返してね
おお。凄い、落着したぞ。
手続きを迅速に進められれば1日2日で使えるようになるかもしれない。やった!
このやり取りで時間終了、搭乗口へ。
セキュリティチェックがあるから余裕を持たせて。
ゲート1つだけの簡易的なセキュリティチェックをサラッと終わらせて、出国手続き。
ヌエボラレドで貰ったメキシコツーリストカードと支払い明細をここで返却した。
「キューバからまたメキシコに戻ってくるんですけど、その時にはまたこのツーリストカード代を払わないといけないんでしょうか?」
「いいや、いらないよ。ツーリストカードが必要になるのは陸路と海路の場合だけだ。飛行機で入国するときはチケット代に含まれてるから払う必要はないよ」
なるほど。それはありがたい。
ってことで!!
一時的にメキシコ出国!
1時間半飛んで、
キューバ到着!
ボーディングブリッジに降り立って最初に気づいた匂い。
なんだっけこれ…
なんだこの懐かしい匂い…
あ、あれだ、温泉旅館の匂いだ。
なんでこんな匂いすんだろう?
ちょっと気にしていた預け荷物は何も問題なく受け取れた。
入国審査も写真を撮るだけ。
両替マシーンがあって、アメリカドル、カナダドル、ユーロはここで両替できるけど、他の通貨は外に出て左右にそれぞれある対人窓口でやらなきゃいけないようだ。
どちらもパスポートが必要。
まずは手持ちのアメリカドルを4ドル、機械で両替した。3.5ペソと小銭になった。
キューバも単位はペソか。
続いて外の窓口でメキシカンペソを600ペソ分両替。
こっちは29.85ペソになった。
えーと、1メキシカンペソが5.8円だったから、600ペソ分だと3480円。
それを29.85で割ると、約116.6円。
ふむ、キューバペソは約1ドルと同価か。
次は物価のチェックだな。高いとヤバイぞ。
なんとか数日はこの手持ち33.35ペソで生き延びねばならぬ。
空港の前にいくつか売店があった。
値札が全部に2つずつ付いている。
これが例の。
キューバには現地人用通貨と観光客用通貨がある。
それがCUCとCUP。
どっちがどっちなのか分からん。
紙幣と硬貨、どっちを見てもその文字は見当たらない。
頭文字すら合わない。
尋ねたら、CUCが観光客用通貨の単位で、CUPが現地人用だと分かった。
コーヒーが20CUC、500ml水が45。缶ジュースは1.50だ。
つまりコーヒーが23円、水ペットボトルが52円、缶ジュースが174円相当ってわけか。
コーヒーと水がかなり安い割にジュースが高い!まぁジュースは要らないけど。
ひっきりなしにタクシー?って声かけてくるドライバーをばっさばっさと切り捨てながらトラベルエージェントオフィスのおばさんにちょいと尋ねてみた。
英語がスラスラ話せるみたいだけど、早すぎて聞き取れない。なんてこった。
とりあえずハバナ市街地への直行バスはないけど、乗り継げば沢山あるよとのこと。
よし、じゃまずは最初のバスだな。
通りまで出てみたけど、バス停らしきものはない。
路上にバス待ち風のおじさんが1人いるから、この辺を通るバスを捕まえる形だろう。
10分ほどして1台の大型バスが停まった。おいおい、綺麗だな。
クラシックカーと新しくてピカピカのイエロータクシーばかり走ってるけど、バスはモダンな方なのか。
値段は5ペソ。つまり5ドル?
じゃ中心地まで行けるのかな、と思いきや、お金を渡したら4ペソ返されてきた。
あー、現地人通貨で5ペソなのか。1/5になって1ペソだな。
複雑ー。
酔ってる陽気なおじさんが飲むか?ってペッドボトルの水を渡してきた。
いや、ぜってー水じゃないな。
飲んだら、甘みの強い、テキーラみたいな蒸留酒。
「カッ!うっ、これはテキーラ?」
「違う。メキシコ、テキーラ。キューバ、ロン。これはロン。」
ロン??聞いたことない酒だー。
シュガーから作られてる、って言うから、えーと、ラム酒に近いのか。
どんどん進めてくるから、乗り継ぎのバス停までの間にショット3杯分くらい飲んでしまった…
ううあ、空腹にこれはキツイ!
ボロボロのローカルバスに乗り換え。
ハバナセントロまで5ペソ。こっちはCUCでフルの5ペソ。
すぐに満員になってしまって、すし詰めになること1時間半、ようやくセントロに着いた。
つ、疲れた(´Д` )
タクシーなんて使いたくないけど、これはシンドイ。
腹が減りすぎて普通に歩けん…
どこかメシ屋はないか〜
全然ねぇ。
街の中心部の公園周りだってのに、お店がほとんどない。
ミニメルカドってのを見つけたけど、現地人で行列ができてて中に入れない。
窓から中を伺うと、マーケットというより倉庫のような見た目だ。
それぞれの棚に、単一銘柄のみがズラッと並んでいてとても異様だ。
この棚にはサラダ油、隣はビネガーかなにかのビン、その隣はトマト缶だけ…
店から出てきた人もコーラ24缶セットとか、そういう買い方してる人ばかり。
これは観光客が買い物に入る店じゃない。
フラフラしながら歩いてると、小さなお店でサンドイッチを売ってるのを見つけた。
10ペソと書いてある。
CUCはCUPの5倍と考えて、55セントくらいの価値かな?
「これ1個ください」
無言でサンドイッチを手渡し、おじさんは10ペソといった。
細かいのもほしいし、10CUC札を出した。
そのまま無言でしまうおじさん。
は、…お釣りなし?
「10ペソですよね?」
「そうだ。」
「CUCで払ったんだけど…」
頷くおじさん。
…
え、このサンドイッチ、10CUCなの…
すでに齧ってしまったサンドイッチを持って呆然と歩いた。
10CUCって…
1100円の価値やん
600ペソと4ドル、合わせて約3600円分のペソを持ってて、
そのうちの約1/3がこの小さな、飲み込むのも一苦労なほどのパッサパサのサンドイッチ…?
…
いやいやいや!
ダメでしょ!
いつもならナンテコッタ…って凹んで終わりだけど、
ダメでしょ!
これは引き下がれない!
言葉が通じまいが、煙たがられようが、こっちの要望を押し通すぞ!
急いでまた来た道を戻った。
店員はさっきの無言のおじさんから別のおばさんに変わってる。
「さっきここで10ペソのサンドイッチ買ったんですが、10ペソ払いました!CUCで!」
「そう、それで?」
「お釣りをもらいませんでした。
CUCだと、10ドル分の価値があります。
CUPの値段だと、高すぎなんです!」
必死で、自分のあらん限りのスペイン語ボキャブラリーで説明する。
そこにさっきのおじさんが戻ってきて、事情を察したようだ。
「アンタか。大丈夫、俺が覚えてる。
ホラ、200ペソ(CUP)だ。これで8ペソ(CUC)分になる。」
おじさあああん!!(ToT)
現地民の通貨だけど、無事損せずに済んだぞ!!
良かったああああ!!!
ガッツポーズしながらまた道を下った。
あ、日本料理屋なんてあるのね…
ラーメン、650円くらい?
日本と同じ値段設定!そそるけど、そんな贅沢はできません!
廃墟のような現地民の店や家々と、観光客向けのバーを横目に海沿いに向かった。
「やぁ、何を探してるんだ?ハウス?タクシー?」鬱陶しい客引き風の男。
「別に何も。海(Sea)に向かってます。」
「あぁ、それならこっちだよ。ついてきな!」
いや、地図で道は分かってるの。このやり取り、チュニジアとモロッコで散々やったなぁ。
絶対金を無心するんだろうなぁ。
無視してまっすぐ歩いていく。
男は付いてくる。
海沿いに出た。
海!
潮の匂いのする風が髪をさらう。
「あの向こうに船(Ship)がある。すぐだよ!良かったな!」
「いや、Shipは求めてません。Seaが見たかっただけなので。」
「?。じゃあお金をくれるよな!1ペソ!飯を食うために必要なんだ!頼む。」
「嫌です。」
「頼むよ!子供がいるんだ!連れてきてやっただろう!」
「イヤです。そんなの知りません。僕まっすぐ進んでただけです。」
「ヘイ、そんなこというなよ!頼むよ!金が必要なんだ。チップをくれ!」
ウザい(´Д` )
シツコイから5ペソやった。あ違った、5セント。
「5セント?!これじゃご飯食べられないじゃないか!ヘイ!困るよ!オイ、なぁ!ごにょごにょ…」
無視してさっさと歩き去った。
はぁ、どうしよ。
道すがらに買ったココナツ(2CUC)からジュースを吸った。
ナチュラルな甘さが全身にパワーをくれるようだ。
しかしお高い。
今日はひとまず野宿決行だ。
お金がなさすぎる。
ベッドがなくても死にはしないが、飯がなかったら俺は死ぬ。
宿の価格は追々調べよう。
向こう岸の方がテントを張るのに適切そうだ。
こっちの公園はどこも小さい上に柵があったりするし、野良犬が多くてまず野宿は無理。
街灯もあるし、十中八九、観光ナイトライフの後のムーディーなデートコースになる。
沈む夕日を見ながら、対岸の要塞を眺める。
夕飯用にココナツを割って中身を食べようと奮闘してみたけど、なかなか硬い…。
割れもしなければ、削れもしない。
スイスナイフが木屑だらけになってしまった。
暗くなるまでココナツの殻をゴリゴリやっては中の白身を削って食べた。
半分くらいなんとか食べたとこでもうギブアップした。
あ、飽きた…
ココナッツ、丸一個食えんわ…
対岸へつながる道は、橋かと思いきやトンネルだった。
車しか通れない。
よく観察して、対岸に向かう路線バスを見つけて飛び乗った。
値段を聞いても無反応。
なんでこっちの人たち、みんな値段聞くと黙るの。
よく分かんないけど試しに2CUC出した。
そのまま仕舞うだけの運転手。
ピッタリだったのだろうか…?
どんどん乗り込んでくる乗客に流されないうちに外へ転げ出た。
走り去るバス。
…
うーん、モヤモヤする。払い過ぎたりしたかなぁ。
街灯の明かりを頼りに城塞の岸辺に向かった。
行き着いたのは何かのレストランの駐車場。
「サー、お食事でしょうか?」
「い、いえ、地図のこの付近に行きたいんですけど…」
「アァ、カサブランカですね。ここは行き止まりなので、城塞の裏手を通らなければいけませんよ。
タクシーをお呼びしましょうか?」
「えっ、いや、結構です!歩いていきますんで!」
「本当ですか?距離ありますよ。こちらでタクシーをお呼びしますよ」
「ほんとに、構わないので!ドーモ!失礼しました!」
逃げるように退散!
ぬおおお上り坂ああああ!
カサブランカ地区にたどり着く前に力尽きて、城塞の入り口近くの芝生に転がった。
疲れた(´Д` )
街灯が風に揺れる。
カバーニャ要塞は夜までやってるようで、まだ人が跳ね上げ橋を渡っているのが見える。
広場の横には沢山の大型バスが並んでいて、たまに通るクラシックカーと合わせて道路付近を照らしている。
テント張るには充分な条件だけど、まだ人目につきすぎる。
人が減るまでこの辺で寝てるか…
芝生に寝転がって空を仰ぐと雲の合間に明るい三日月と星々が見えた。
オリオン座が逆さまにこちらを見下ろしている。
火星が暗い。
現役の灯台が回っていて、周期的に城塞の壁に光を投げかけている。
…
ハッと気がつくと、周囲の明かりが消えていた。
街灯だけが風に揺れていて、人気のない道路を丸く照らしている。
すぐにバックパックからテントを引っ張り出した。
久々のテント。記憶を辿ると、アメリカ初日の雪の夜が最後だ。
このテントとももうすぐお別れかな。
錆びた杭やポールのジョイントが手にザラついた。
中に潜り込んだ。
遠くで犬が狂ったように吠えていた。
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