2018年12月23日(日)
UK-England Whitby 〜 Durham 〜 Newcastle Upon Tyne
イギリス・イングランド ウィットビー 〜 ダラム 〜 ニューキャッスル・アポンタイン
雨粒がたまにポツポツとテントに当たる。
8時を過ぎて日が昇り、やや明るくなってきたのがテントの中からも分かったので起き出した。
寂しげな静寂の中で、昨夜はいなかった羊達が黙々と草を食んでいる。
寒いことは寒いが、オックスフォードの時のような、凍りつく寒さじゃない。
それでも素手を外気に露出していれば動かなくなってくる。
その前に手早くテントを片した。
ぬあっ!
バックパックの底のパイプが折れてる!!
昨日バスに乗ったときパイプを掴んで持ち上げたけど折れてなかった。
その後どこかでやっちゃったか。
ビニールテープでも探して補強しないともっと酷いことになりかねないな。
テントを張っていたここは個人所有の駐車場だけど、昨日許可をもらっていたので安心して居られる。
お礼を言いたいとこだが、誰も見当たらない。
羊が農場に出てるってことは、もう仕事が始まってるんだろうな。
クリスマスシーズンだろうが、生き物を扱う仕事は年中無休だ。
まだ閉まっているブルワリーにも心の中でお礼とバイバイを。
ウィットビーの中でも一番の見所は、このウィットビー修道院跡だ。
残念ながら今は冬季のオフシーズンってことで工事期間に入ってるらしく、営業はしていない。
まぁでも石壁より俺の目線の方が高いから、ふつーに覗き込める。
昔は栄華を誇っていたであろうことがわかる、堂々とした石壁。
遠目にもその装飾に力を入れていたことがわかる。
いつからか民の畏敬の念を失って、風化していったんだろうな。
街の教会から鐘がゴーンゴーンとなり出した。
毎日毎刻鐘が時を刻み、じわりじわりと、風化を確実なものとしていく。
まるで鐘の音が世界の有機物・無機物の寿命を削り取っているかのようだ。
修道院の横には教会があって、墓跡が立ち並んでいる。
人の一生、建物の一生。そして星の一生。
その一生の長さに差があれど、
すべてに始まりと終わりがあり、
そこからは逃れられない。
風化、退廃、死、終焉。
そこには恐れや寂しさもあるけれど、
同時に、不思議な美しさを感じるのはなぜなのだろう。
負の感情を取り繕おうと無意識に正の感情を生み出しているのか。
それとももとより、陰陽対極が同時に存在するってことなのか。
ウミネコの鳴き声、磯の香り、遠くを走る自動車の音、冬の風。
自分の過去に散らばった記憶を寄せ集めたような、懐かしさの作品。
この光景がまたひとつ、俺の過去の思い出に追加される。
その時、ブーンと、聞き覚えのある音が聞こえてきた。
音を辿った先の宙にあったのは、ドローンだった。
修道院を囲む石壁を超えて、空の上から施設一体をゆっくりと一周している。
操作主は見えない。
視界ジャックをするように、ドローンの目線に意識をトレースしてみる。
沢山の人が修道院の中に入っていけば、それだけ風化は早まる。
その保全管理のためにも入場を制限して、入場料をとって、その管理費に当てる。
ドローンを使って空からリアルタイムで見れるのであれば、
直接的な風化には作用しないからお金を払わなくても文句は言えないが、
そうして来訪が減れば、自然風化への対応にかかる費用を捻出できなくなってしまう。
遺跡に肖像権があるのなら、ネット上での商業利用に費用を課すことは可能そうだ。
過去にしがみつく人はテクノロジーを忌避するけれど、
テクノロジーを使って過去を留め置き、管理する側面だってある。
フィルムカメラだって、空調機器だって、
もっと言えば原始的な木の柱を腐らせないためのコールタールだって、テクノロジー。
ドローンもAIもロボットもそのテクノロジーの延長だ。
すべては使い方次第。
怖がって使わなくても、誰かが必ず開発する。
とりわけ、軍事利用や悪用したい者達によって。
それならば正義の心を持って積極的に開発し、コントロールする術を磨くべきだ。
このひとつの空間に過去と未来を見た。
美しい街屋根を見下ろす、199ステップ階段を降りた。
「THE PLOUGH INN」。イカした名前のホテルだな
クリスマス前の日曜日の朝だ。
ほとんどの店が閉まってる。
地中海沿岸国でよく見たけど1度も入らなかった、チェーンのコスタコーヒーが開いていた。
よし、入ってみよう。
ポリッジとコーヒー。
温かくてほの甘いオートミールのポリッジ。
オーツ麦のでんぷん質が溶けてネットリした食感があるから、牛乳でゆっくり煮込んだのがわかる。
そのままでも美味しいけど、シナモンパウダーをかけて食べた。
んー、クリスマスぽい!
今日はダラム(Durham)に向かう。
ウィットビーからダラムに行くのはバスよりも電車の方が安い。
なので事前にアプリで買っていたチケットをダウンロードして駅に向かった。
駅は自動改札がなくて、電車も2両編成のローカル線。
ウェブチケット画面を車掌さんに見せた。
柔らかい空気のいい街だったな、ウィットビー。
車両の端っこで爺さん婆さん達が何かワイワイやってると思ったら、
サンタ帽をかぶってミンスパイはいかが?と乗客に配って回り始めた。
うひゃー、素敵な催し!
ありがとうございます!!
募金箱みたいなのを持ってたから、小銭をいくらかお礼にチャリンと入れた。
一昨年のクリスマスにヨウルトルットゥ(星型のパイ)を作ろうと、
プルーンジャムをアマゾンで取り寄せた。
その時に買ったのが正確にはプルーンジャムじゃなくて、プリザーブというものだった。
プリザーブはドライフルーツを砂糖とスパイスで煮てジャムっぽくしたやつ。
このミンスパイに入ってるのはそれだ。
レーズンやクルミ、スパイスが入ってる。
温かい気持ちにさせてくれるお菓子だな。
こんなのもくれた。
液体のカイロ。
まんなかの金属円の部分を押すと発熱が始まるらしい。
すごい!魔法のようだ!
駅に近づくにつれて乗客もやや増えた。
ん?
“トナカイ柄のセーターを着てサングラスをかけたシロクマ”の絵柄のトレーナーを着てる人がいる…
アメリカドラマのアンダー・ザ・ドームのディーン・ノリス扮する、
ビッグ・ジムみたいなイカついおじさん…。
なんというギャップ。
かわいい。
さて、ダラムに着いた。
目的地はダラム城とダラム大聖堂!
と、その前にどこかで昼ごはんかな。
中心地に入っていった。
いい雰囲気の街だ。
城下町感が強い。
ヨークシャーに来たのだから、名物、ヨークシャープディングをどうしても食べたい!
ヨークでもウィットビーでも食べる機会を逃してしまったからな。
そして今日は日曜日、サンデー。
イギリスに来てからあちこちで見た、「サンデーランチ」の看板。
イギリスでは日曜のブランチは「サンデーランチ」と称してローストを食べる文かがあるらしい。
ローストチキンとかローストポークとか。
豪華に感じるけど少し考えると合点がいく。
オーブンに放り込んで焼くだけの料理だから手を抜ける。
ただしオーブン料理は時間が掛かるから忙しい平日の朝から作るものじゃない。
日曜朝にミサに参加したあとに帰ってオーブンをあければ出来上がってる、とか、
現代であれば帰りにお店に寄ってちょっと贅沢な日曜のランチ、とかそんなもの。
ただ、食べられる場所となると調べてもなかなか出てこない。
結構念入りに探して出てきた候補の一つが、ここ。
Market Hall。
お土産品やおもちゃや服など、なんでも売ってるマーケットだ。
狭いとこに密集してごちゃごちゃと雑多なものを扱っている感じが、
なんとなく日本ぽさを感じさせる。
Cafe Cennoってお店があるようだからのぞいてみますか。
で、
あった!ロースト!
サンデーランチとは少し違うけど、
マッシュ・ヨークシャープディングが付いてくるローストで、ポークかチキンが選べる。
最高だぜ。うぉー
む、ローストビーフが食べたかったけど。
ポークでもいいかな。
値段が書いてないから尋ねてみると、6.50ポンドのチキンと7.50ポンドのターキーがあるそう。
ポークないんかーい。
高いけど、ローストターキーは定番、って言ってたもんな昨日。
ニック達にサンデーランチに関して聞いていたんだ。
で、クリスマスのローストターキープレート!!
おお!
うまそー…お?
ヨークシャープディング付いてない(´Д` )
え、えー!!
メニューウソだらけだな!
残念(ToT)
どっかで食えるかなぁ。
まぁ厳密に言えばヨークシャー地方はもう抜けちゃってんだけどね。
いやー、でもどれも美味しい!
柔らかく煮た芽キャベツ。
人参は少し固茹で。
ターキーはパサ付いてるんだけど、備え付けのソースをつけて食べると絶妙になる。
リンゴンベリーじやなくて、クランベリーソースを添えるのは、スカンジナビア料理のようだ。
相性は、うーん、まぁまぁかな。
なくてもいいかな、こっちは。
ソーセージの味の肉団子にベーコンが巻かれている。
これは昨日ニック達が教えてくれた、ピッグインジャケットかもしれない!!
大満足のサンデーランチでした!
また食べたい!
さて、やってきましたよダラム城!!
お城というか、ここは今は大学として使われている。
マジでホグワーツみたい。
日本で現役学生が大阪城とかで寝泊まりして勉強してるようなもんだよね。
超楽しみ!
いえええええええい!!
ダラム城、まさかの休み!!
うおおあおおい!!!
冬季休業か!!!
ハリーポッターの大ホール見たかったああああ!!!!
(ToT)
戸の隙間からのぞき込む…
しばらく放心状態になってたけど、箒を持った女性に、
今日は休みだよ!一般人は入れないよ!って追い討ちを食らったから仕方なく退散した。
ううう(ToT)
仕方ない、気を取り直して…
ダラム大聖堂ー!!!
こりゃすげー!
入場無料だけど、1人3ポンドの寄付が推奨されている。
大聖堂、太くてゴツゴツしてて装飾が施された立柱が見事だ。
残念ながら大聖堂内のエリアは撮影禁止だ。
普段はガイド付きツアーもあるそうだけど、クリスマスシーズンのために無しとのこと。
回廊!!
回廊は間違いない!!!
そしてこここそが、
ハリーがヘドウィグを雪の中で飛ばしたとこであり、ロンがナメクジを履いたところだ。
うわー、映像が脳裏に蘇る!!!
嬉しさで吐きそう!ナメクジを!
マグゴナガル先生の、変身術の授業で使われた部屋!
ここも鍵しまってる!!!
ガラスの隙間からなんとか写真撮った。
よく分からんなぁ。
裏手を回って、お土産やさんとレストランの間に、
レゴで再現したダラム大聖堂があった。
すっげー!( ´∀`)
中まで細密に再現されている。
ほんとにこんな感じ。
大聖堂内にフラッフィーが守っていた扉があるそうだけど、
上に登るのは危険なため、下から見上げるだけとのこと。
この辺、と受付で教えてくれたところから見上げてみたけどほとんど分からんかった。
うーむ。
そしてそこも大聖堂の中なので写真撮影は禁止。
残念だ。
クリスマスキャロル的なものを少し聞いてみたけど、オハナシが長いし眠いので退室した。
バス乗ってホステルに行ってゆっくりするとしよう。
マーケットホールと教会の間の小さな道を通って大通りに出て、
バス停で待つこと5分、ニューキャッスル・アポンタイン行きがやって来て乗り込んだ。
バス代は5.30ポンド。
1時間で到着した。
Manorsという駅にやや近い、John Dobson St. Carliol st.というバス停。
都会ですな。
あまり面白そうな街ではないけど、
日本が全土、京都や日光みたいな和のテイストでないように、イギリスにもこんな街があって当然だ。
歩くこと25分、予約していたBudget Hostelに着いた。
数分待って、と言われて、15分くらいチェックインを待たされた。
ま、1泊10ポンドと、かなり破格なので文句はない。
キッチンはあるけど、電子レンジ、トースター、冷蔵庫、壊れかけのティファール。
それにプラスチック製フォークとナイフ、紙皿、プラカップのみ。
電子レンジを活用して、持ってた食材でパスタ使った。
うむ、スパゲティがくっついちゃって失敗したけど、まぁ食える。
ニューキャッスル・アポンタイン。
この街には別に用はないのだ。
ウェブ作業して、雨の方が水勢強いんじゃないのか?ってくらい弱いシャワーで行水して、
おやすみなさい。
部屋が狭くて寒い。
ベッドも建付けが悪くてゆらゆら揺れる。
明日は憧れの、エディンバラ。
しかも、クリスマスイブ!!
いい日になりますよーに!!!!
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あなたに幸せが訪れますように!
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