2019年3月17日(日)
Cuba Trinidad
キューバ トリニダード にて
コンコン
ドアをノックする音にハッと目を覚ました。
「8時よ」
開けたドアの先にいたのは宿の女性だった。
げー、寝すぎたー。
確か昨日は朝食が7:30、宿出発が8:30と言っていた。
まだ朝食食べる隙はあるかな?
宿の人たちがいるエリアに向かうと、
食堂とも呼ばないものだけどテーブルがあるスペースに、
フルーツとコーヒーが1人前セットされてた。
良かった、まだいけそうだ。
座ってパパイヤとグアバを摘まんでいると他の朝食が運ばれて来た。
ハムを挟んだだけの小ぶりなパンと、謎のゼリー、
市販のパイナップル味の清涼飲料水、それにセミハードのチーズ。
フルーツ以外お世辞にも美味しいとは言い難いけど、
食べられるだけでも有難いと思い腹に詰め込んだ。
ご馳走さんです!!
さて、このトリニダードでもまたホースライディング(乗馬)ツアーがメインのアクティビティのようだ。
そんなんお断りだ。
乗馬は楽しいけど、キューバスタイルは過激だからパス。
一昨日の乗馬の影響でまだケツが痛い。
ただ、宿の人たちが今日はツアーじゃなくて、
私たちからのお誘いだからタダで行けるよ、コーチ(馬車)に乗って川と滝を見に行こう、
とオファーしてくれたのだ。
馬車に乗って町の外まで行ってハイキング?
そりゃいいな!
寛ぎたかったからそういう爽やかなアクティビティは大歓迎だぜ。
ってことで馬車登場!
え、
あの、これ、野菜とか藁とか載せる荷車じゃ…
「さぁみんな乗った乗った!」
御者は麦わら帽子を被った黒人の青年。
サングラスのせいでイマイチ顔がわからない。
詰め込まれるようにして荷車に乗るーってか人数多すぎだろ!!
宿にいた子供達合わせて7人!
馬が可哀想すぎる!
女性陣が重量級×3だし(´Д` )
荷車の左右に木の板が張り出していて、そこが椅子になる。
石畳をガタガタ進むとお尻が後ろに滑って行くから、
端っこの人はもちろん、みんなしっかり鉄柵を握って適宜ケツの位置を戻さないと落っこちる羽目になる。
途中商店に寄って宿の人がハバナクラブとジュースを買ってクーラーボックスに入れた。
森の中で滝を見ながらカクテルってことか。
オツですね!
後からいくら金ふんだくられるか分からないから俺はお断りだぜ。
町外れに出るとアスファルトになって一安心、と思いきやそうは問屋がおろさない。
アスファルトも穴だらけ亀裂だらけ石だらけでより段差が増えた。
痛えええ(>_<)
座布団ほしいいい!!
坂道では下りないといけないようで少しだけ解放された。
のどかな農村の合間をゆっくりと山に向かって荷馬車はゆ〜れ〜る〜
ドナドナドナドナドーナー
チキショウ、宿の女共が頻繁にタバコ吸うせいで副流煙がウザい!!!
車が通れないほどにぐちゃぐちゃになった土くれの道、泥水の池、
ソフトボール大以上の石がゴロゴロしてる砂利道を超えて、
そろそろケツがすり減って3センチくらい小尻になったかなってところで森の中に降り立った。
いててて…
歩けねぇ…
「ここから滝まで歩くよ。ホレ、男なんだからアンタがクーラーボックス持ちなさい!」
と意味わからん仕事を押し付けられ、少年と2人で山道を運んで先導した。
森の中で1人の男性が声をかけてきた。
宿の人が言うには、「公園の入場料」。
オイ!!お金かからないって言うたやん!
「私たちは地元民だからかからないのよ!ツアリストはみんな払わないといけないの!」
知らんわ!!
帰る!!
と言いたいけど、多分7kmくらいは軽く走ってきてるし、まだ川も滝も見れてすらいない。
そしてここにはなんもない。
森だけ。
納得いかねーわー。
全然納得いかねーわー。
入場料6.50CUC(6.5ドルくらい)を支払い。
高ぇし。shit!
「私たちはタダなのよ!私たちは!」
知らねーっつってんだろ!
同じように入場料がかかることを知って引き返していった女の子も2人いた。
不憫だ。
そこからハァハァ荷物を運び、数百メートル先に川と滝壺が現れた。
滝は雨量が少ないためか岩肌を濡らす程度しか流れていない。
滝壺の横にはバーカウンターがあってラム酒とかジュースが並んでる。
その横ではおっちゃん達が弾き語りでブエナビスタソーシャルクラブのチャンチャンを歌ってる。
みんなこの曲だな。
いや好きだけど。
観光客がすでに10人以上いる。
うちの宿の連中は荷物を置くやいなや、即服を脱いで水着で滝壺に飛び込んだ。
うおおい。
俺水着もタオルも持ってきてねーよー。
泳げると知ってたら絶対持ってきてたのに(ToT)
汗で濡れたシャツを木の枝に干して、靴脱いで足だけ濡らした。
少し冷た目の水が気持ちいい。
ふーー、森林の清浄な空気…
観光客含めみんなタバコを吸う。
…
全然空気良くねぇし…
できるだけ人混みから離れて座った。
高いところから飛び込んでワイワイ楽しむ人を眺める。
道中で追い越してきた乗馬の一団が次々と到着し、
あっというまに滝壺周りは人でいっぱいになってしまった。
せんまっ!!
宿の連中は飛び込んだりビール飲んだりと超エンジョイしてる。
なにこれ、全然楽しくないんですけど…
「なにしてんの?泳ぎなよ!」
「水着持ってないよー」
「じゃ私のこのショートパンツ使っていいから飛び込みなさい!」
そのウエストサイズでショートパンツと呼びますか。
よう言わんわ。
女物のビッグサイズダメージデニムショートパンツ。
キラキラな星のビーズとかあしらわれてるやつ。
ほう、それを履いて恥をかけと?
お断りだぜ。
しつこい泳げ泳げコールを頑なに断って隅の方に座り込んだ。
くっそー、来んじゃなかった。
暇だなぁ。
植物はいいなぁ。
…
12:00過ぎた。
腹減ったなー。
いつになったら帰るのだ。
連中が見当たらないから探しにぐるっと回り込んだら、
滝壺の奥で持ってきてたサンドイッチで昼飯にしてた。
知らんし…
ここで昼飯とか知らんし…
アメリカ人観光客の人たちが
「温暖化ヤバイよねー。テキサスでも雪降ったよ。」
「ラスベガスでスキーまでしたわよ。気候変動が凄まじいわね」と
とても面白そうな話題で話してるのを小耳に挟みながら岩の隙間に寝転がったら、
ガツン!
ぬおあああう…!!!!
後頭部を岩にぶつけッ…!!!!
痛ッッッ!!
コブをさすりながら岩場から離れた。
タバコの煙から逃げながらさらに心頭滅却すること2時間。
ようやく帰ることになった。
ハバナクラブ、開けもしないんかい。
「ジュース飲む?」
と買ってきてた清涼飲料水を勧めてくれたけど、
それ知ってる、砂糖入っててものすげー甘いやつ。
お断りだぜ。
なぜかみんな爆笑してる宿の人たち。
全然笑えねーんですけど…
宿の人が何かビニール袋落としたから拾い上げたら、
「あぁ、それはゴミよ」
「?」
「その辺に捨てときなさい」
いやダメでしょ。
「ゴミ箱なんかないわ。ここはキューバよ。」
ここは地球です。
突き返したらその女は受け取ってゴミをポイっと川の中に投げ捨ててしまった。
クソッタレ、なんなんだよキューバ人!!もう!!
帰り道もまたクーラーボックスを運ばされて荷車まで戻った。
もう乗りたくねぇ…
なぜか全員左側に乗るように支持する御者の青年。
俺は端っこ。
これじゃバランス悪くない?
基本3人までしか乗れない片側に6人乗ってるからほとんど尻を乗せるスペースなんかない。
走り始めてすぐに片ケツが外に飛び出して、ほとんど腕でしがみついてるだけの状態になった。
道の石や窪みで荷車が跳ねるたびに片尻の骨が荷台の板に打ち付けられてもはやただの拷問。
落ちないがためにほぼ全体重をしがみつく左腕で支えた。
握力がなくなった時が最期か…
苦行に一時休憩が入った。
なんだなんだ?
「荷車がパンクだ」
こんだけ人が乗って悪路を走ってりゃそうなるわな…。
だから左側にワザワザみんな寄せてたのか。
あちこち農家に片端から声をかけて、空気入れを持ってきてもらった。
空気抜けただけならいいけど。
待ってる間に謎のフルーツを農家の人がおすそ分けしてくれた。
赤い洋梨みたいなやつ。めっちゃ嬉しい!!
優しい甘みが空きっ腹に染み込む。
空気入れでなんとか潰れていたタイヤは膨らんだ。
再度全員乗り込む。
やはり左側にみんな乗って俺は半ケツ。
心頭滅却心頭滅却心頭滅却心頭滅却!!!!!
痛い痛い痛い痛い!!
心頭滅却心頭滅却心頭滅却ううううう!!!!!!
「おい、チノ!オイ!チノ!!」
何かと思ったら御者が俺のことを呼んでた。
チノってなんだ。北アフリカとかだと中国人のことだったけど。
「パサド?パサド?」
何言ってっか分かんね…
これだけ人居て、1人も英語わかんないんだもんな…
とりあえず俺が歯を食いしばって痛みに耐えてたところを気遣ってくれたんだろう。
荷台から転げ落ちて周りを見たら、見覚えがある、この辺は町の近くだ。
「ここからは歩くから行っちゃっていいですよ」
と手を振った。
左手がもう上がらなかった。
半笑いのまま戸惑って固まってる連中を追い払い、ようやく一息ついた。
多分町までせいぜい1キロ半だ。
歩いて進んでいったらまたみんなに追いついてしまった。
またタイヤが潰れたのと、上り坂で歩かないといけないからだった。
正直顔も見たくないんですけど…
さっさと先に歩いていった。
荷車を引いていた馬は上り坂で足が滑ってしまい全然進めずにいる。
通りかかった他の馬乗りさんがロープで自分の馬も繋いで、
二頭で荷車を坂の上まで引いていった。
そこまで見届けてから、他の連中に「町見て帰るから」と伝えて別れた。
マジで腹減りすぎ…どこかに安くサンドイッチでも買える売店はないかな…
全く見当たらない。
そこにバスターミナル発見。
ちょうどいい、あとで来るつもりだったけど、今、明日のバスチケットを買ってしまおう。
「バスチケット?今日は日曜だから休みだよ!明日6:30以降だ。タクシーはどうだい?同じ値段だよ!」
「結構です」
同じ値段で時間が早くても、乗り心地が悪いことは往路で痛感した。
移動時間を有意義に使うならバスがいい。
バスが売り切れてれば検討すればいい。
売店が見つからないけど、サンドイッチが3CUCで食べられるレストランを宿の近くに見つけた。
3CUCなら妥協点か。
入店してビール注文。
酒とジュースばかりだし、店で2CUCならビールもギリギリ、アリだ。
サンドイッチを注文して数分。
「お客様すみません、パンを切らしてしまってまして…」
パンがないィ?!
サンドイッチ全部無理じゃん…
「今日は新鮮なロブスターと魚が入ってますので、そちらがオススメです」
もう16時だから夕飯近いし、軽めが良かったのにな…。
ロブスターは流石に高すぎてパス。
値段一緒なら牛ステーキにすっか。
5ドルで牛ステーキ食べられる機会なんてなかなかない。
放牧牛あちこちで見てるから体に良いかもしれない。
プロテイン!
「お客様、今はロブスターが…」
「ビーフでお願いします」
「魚も今朝取れたとても新鮮なものが入っていますので、本当にオススメなんです。」
「分かりましたよ…魚にしますよ…」
「ありがとうございます!」
隣でこっちを見ていた欧米人のおばさんも「ロブスター美味しいわよ!」と親指を立てた。
ふむ。期待するとしよう。
で、これ!
大きな白身魚のバターソテー!
もぐもぐ
あ、うまいな確かに!
特に味に変哲はない。
刻んだ生のオニオンとチャイブみたいなハーブが振ってある。
油で揚げたバナナチップスもあって、これも不思議と相性が良くて美味しい。
ふーん、やるじゃん!
( ´ω` )ゲフー
ご馳走様でした!
食べ応えはあるんだけど、毎食毎食5CUC以上払ってたらあっという間に金なくなっちまうよ…
キューバしんどい…
さて、宿に戻る前にインターネットカードを交換してもらわないといけない。
これ。
店員さんに聞いたら、電話屋は日曜でも19時まで開いてるとのこと。
それは有り難い!
食べ終えたら早速電話屋さんへ。
「カードの交換?交換は日曜はやってないわ。明日来てね」
マジかよ…
結局今日なんもできんなかったなぁ…
ホステルに戻った。
子供らにオラっと挨拶。
水シャワーを浴びて汗と埃を落としたらかなりスッキリした。
お湯はやはり出ないみたいだなここの宿は。
屋上で日が暮れるまで本読んだ。
あとストレッチと、ひさびさに筋トレも。
プッシュアップ20回×2セット、追い込みで休憩後に10回追加。
筋力落ちたなぁ。
握力ってどう鍛えればいいんだろ?
夕飯を食べに昼のレストランに行った。
よし、さっき食べられなかったビーフを食べるぞー!
まぁまたビーフは切らしてます、とか言ってくる可能性あるし、
第2候補のチキンでもいいかな。安いし。
「ビーフのグリルください!」
「すみません、今ビーフは切らしておりまして…」
「じゃチキンを…」「チキンも切らしておりまして…」
さようなら。
あーあ全くフザケてるぜ☆
軽いものでいいんだよな〜もう夜だし。
屋台発見。
「サンドイッチ?」
「そうだよ」
いいね!
丸焼きにしたような豚肉を指で細かく引き裂いて、それをパンに挟んだやつ。
薄いトマトのスライスも乗せてくれた。
パサクッ
もぐもぐ
パンがマズすぎる(´Д` )
肉は美味いんだけど、指でつまんだら粉に戻りそうなくらいパッサパッサに乾いたパン。
よく原型とどめてるなって驚くほどだ。
角砂糖とたまごボーロを足したような食感だ。
肉はうまい。うむ。
「どうだ!うまいか?」
聞いちゃう?
それ聞いちゃう?
び、びえん(bien)…
あちこちのバーやレストランから響く軽快なキューバン音楽。
宿に戻ってさっさと寝ました。
明日は早く起きよう。
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