2019年1月16日(水)
Canada Ottawa
カナダ オタワ にて
少し遅めに置き出してキッチンに水を飲みに行ったら、もう朝食が色々と用意されていた。
「ベーコン焼いたから食べて。」
とゴードが言ってシャワーを浴びにバスルームへ向かって行った。
おお。
映画でよく見るようなあのカリカリベーコン。
犬のカイヤがやってきて物欲しそうな目で横でおすわりしてきた。
あげないよ( ´一` )
止められてるもんね。
Siriさんに今日の天気を尋ねたら、
「最高0℃」
おお、今日はめっちゃ暖かいのか!
「最低マイナス21℃でしょう」
ひっく!!!
現在マイナス1℃、晴天。
ここからガンガン下がっていくわけか…
今日はゴードが休みを取ってくれたみたいで、サマーコテージに連れて行ってくれる。
親父さんの代から受け継いで増改築しているコテージが湖のほとりにあるという。
サマーコテージだなんてフィンランドのケサモッキみたいだけど、共通点とかあるのかな?
車に乗り込んでいざ出発!
「ハイウェイで行ったほうが早いんだけど、つまらないから別の道で向かうよ!」
とのこと。
町から抜ける辺りには森が広がっている。
「グリーンベルトと言ってね、オタワの街は森に囲まれてるんだ。ここは建物を建てたり道路を敷設するのは厳しく制限されてる。このグリーンベルトの外側からまた建物などが広がってるんだ。」
環境保護のため?と聞いたら、いや、見ためを良くするためじゃないかな、とゴードが答えた。
み、見ためか。
枯れたトウモロコシの畑や乗馬のファームを超えていく。
サラサラと降ってた雪が急に吹雪だし始めたら一気に見通しが悪くなった。
直線道路だけど対向車が数十メートル先に現れるまで気づかないくらいに真っ白だ。
そんな道を越えて森を進んでいき、ミシシッピ川を越えて、
コテージのある湖のほとりに着いた。
ミシシッピ湖だ。
フィンランドよりもやや木々の隙間がある森の中。
テラス付きの立派なコテージが何軒か並んでいる。
この白いのは桟橋。
今は水が凍っているから上げられているけど、夏場は水に浮かべて飛び込んだりできるようになるのだとか。
「水深は2mくらいで浅いから危険だけどね!一度勢いよく飛び込みすぎて胸を打ったことがあるんだ」
怖ぇ。
コテージの周りを散策。
「あそこには沼があるんだ。一度だけビーバーを見たことがあるよ。」
え、まじ!ビーバー見たい!
ゴードがまだ若かったころの話だそうだから、今は厳しいだろう。
ビーバーは川にダムを作って水をせき止め、かさが増した水の中を潜って中に入るような巣を作る。
だから捕まえる一番の方法は、ダムを壊して水かさを減らしてしまうことだ。
そうなると巣から出入りするために地上に姿を払わさなきゃいけなくなる。
ダムを壊したものの、近所の若者たちが近隣で騒いでいたためにビーバーが警戒して出てこなかったそう。
時間をおいて夕方に戻ってきたところで初めて生で目撃できたと、話してくれた。
残念ながら暗くなりすぎて連打式ライフルの照準が目視できなくなってしまってハントは失敗したのこと。
それでも、警戒心が強くてなかなか見れないビーバーをナマで目撃できたのはすごい!
さぁ、お次はコテージの紹介。
ゴードのお父さんとご兄弟は大工だったらしい。
このコテージも、お隣も、その隣も、ゴードのお父さんが作ったもの、または作り直したものという。
すっげ!
家の中に巨大なムースの角!
これはゴードが捕まえたやつらしい。
超デカイ。
広々とした窓から凍った湖が一望できる。
これは気持ちいいなぁ。
夏場とか最高に違いない。
ミシシッピー湖!
何もない雪原のようで、最高に清々しい!
「日陰はかなり寒いから日向でランチにしよう」
ということで、
湖の上で昼ごはんすることになった。
湖上ランチ(笑)
ツナとパプリカなどの刻んだ野菜、ロメインレタスを挟んだサンドイッチだ。
突き抜けるような青空に、短い尾を引いた飛行機雲が、まるで水面を走る船のように音もなく滑っていく。
「向こう岸に小さい小屋がいくつかあるのが見えるだろう?湖の氷の上だ。あれはなんだと思う?カナディアンクイズだよ〜」
え??
たしかに、岸じゃなくて氷の上にコンテナのような窓付の小屋がいくつも点在している。
「うーん、着替え小屋?」
「違うよー。ヒントは、暖かい状態で何かを出来るようにするためのものだ」
…
「あっ!分かった!釣りですね!!」
「そう!中に椅子を置いて、ドリルで開けた氷の穴から釣りをするんだ。」
ひえー、なるほどねー!
氷の穴から魚釣るのはテレビとかで見たことあるけど、小屋までしつらえちゃうのは初めて見た。
ただでさえヒマな釣りを屋内でするって、楽しいのかな、とちょっと疑問なんだけど、それはゴードも同じだったようだ。
「服を着込んで、小屋の中で床の穴を見て一日中ジッとしてるのさ」と揶揄した感じで笑った。
シュールな光景が脳裏に浮かんで一緒に笑った。
クーラーボックスにビールと水とコーラがある。
せっかくなのでビール( ´∀`)
「その白いのはカナダの定番のやつだ。家にもまだあるから気に入ったら後でも飲めるよ」
Molson Canadian。
ドライなラガーピルスナー。
この前別の定番も飲んだけど、それもラガーだった。
カナダ人はラガーが好きなんですな。
アサヒスーパードライとか好きそうですな。
風は弱いけど、とにかく気温が低い。
サンドイッチを食べるために手袋を外すと、見えない何かに手を引き裂かれるようだ。
とても手袋を外せなくて、食べるのにも四苦八苦してるのに、ゴードは両手素手でふつーにサンドイッチを食べてる。
ぐっ、やはり生まれも育ちもカナダの男は皮膚が違うのか…!
帰る前にこれも見せてもらった。
この小屋はシュガーシャックと呼ばれている。
なんだと思います?
そう、メープルシロップを作る小屋!
まさにザ・カナダ。
メープルシロップの作り方はこうだ。
まずドリルで穴を開けたメープルの木に、チューブ状の金属の口を差し込んで、容器に樹液を貯める。
それを大きな鍋釜に入れて、この薪ストーブで濃くなるまで煮詰めるのだ。
注ぎ足し注ぎ足しで水分を飛ばしていくその時間、なんと24時間。
夜の間も薪を追加して火を絶やさないようにしないといけないから、交代で起きて見張るのだそう。
大変な作業だ!
ガレージの屋根裏に樹液を貯めるための金属容器とかがたくさんあった。
すげー量。
「樹液を取るのは3月から4月だけ。木へのダメージはないよ。穴を開けても1年たてばまた塞がるんだ。その跡に気づかないほどにね」
そうなのか!
ガレージの中にはボートに自転車にカヌー、四輪バギーもある。
泳ぐことも釣りもバーベキューもできるし、近くにはテニスコートもある。
アクティビティがこれだけ揃ってれば飽きることはないな!
車に乗り込んで家路に向かう途中で次に寄ったのは、ゴードのお母さんが住んでいる老人ホームだ。
元介護士として、他の国の介護事情は興味がある。
ここの老人ホームはかなり高価格帯のものだそうだ。
バーカウンター!?
中に入ると、ホテルかと見まがうような綺麗な調度品。
日本でもベネッセとかが高級老人ホームってのを提供しているが、
そういった高級なところは、病院やデイサービスや一般的な老人ホームのような、「介護施設」というイメージとは全然違うというから、ここもおそらくその類だ。
朝食用の食堂のほかにディナー用の食堂がある。
上階が各個室になっていて、普通のマンションやホテルと変わりばえない。
さらに各階には特別室もある。
エクササイズ用の部屋、図書室、ビリヤードルーム、ミニシアターなんてのもある。
これだけの設備があるのなら、身体が動きにくくなっても自宅で住み続けるよりも、
割り切って友達と入居するのも全然あり。
消去法とか受動的なものじゃなく、自分から住みたいと思えるような環境だ。
まぁ、きっとその分派手にお高いんでしょうなぁ。
個室までエレベーターで上がり、ゴードのお母様とあいさつした。
上品で穏やかで感じのいい人。
まぁ自分は部外者なので軽く自己紹介するくらいで、あとは親子二人の話を横で聞いていただけだ。
個室は、ほんとに普通の家というか、ホテルというか。
掃除をしてもらうかどうかといったことは希望に合わせてやってもらえるし、強制的なものはほとんどなさそうだ。
家族が同室に泊まりに来るのもありで、室内での飲酒も別に禁止されてない。
ペットの出入りだってOK。
だからこうしてカイヤも連れてこられる。
余生を過ごす場所として、ネガティブ要素が全然ない。
これはすごいな。
比較対象として他の老人ホームも見学してみたくなるね。
一般価格帯のものだとか、逆に日本国内の高級老人ホームも。
ヘルパー資格を取得するための実技や、普段在宅で看ていた利用者さんが老人ホーム併設のショートステイに入った際に訪れた経験くらいしかないから、あまり情報がない。
ま、もう介護の仕事には就く予定はないんだけれども。
暗くなる前に帰宅。
マイナス13℃かー。
さて、夕飯にはサーモンをオーブン焼きにするそうで、まだ少し時間がある。
「ドラムを叩くそうじゃないか?普段通ってる隣の教会にドラムがあるんだが、話をしてみたら叩いていいよと許可を貰えたよ。ちょっと行ってみようじゃないか」
な、なんだってーーーーーΩΩΩ!!!
こういうところ。
すげぇ、教会というより軽いコンサートホールじゃん!
全然知らなかったのだけど、アメリカ・カナダにはクリスチャンロックなるジャンルがあって、キリスト教の観点を主軸にしたポップス・ロックミュージックが市民権を得ているらしい。
いくつか聞かせてもらったけど、まぁ普通のポップロック。
多分歌詞が、主なる神よ、とか愛と友情、とかそういったものになっているのだろう。
で、そういったクリスチャンミュージックがあるから、教会ではよくコンサートが開かれて、近所の人たちがそれぞれ練習してきた曲を披露するんだそう。
歌とアコギだけでもよし、ロックバンド風にしてもよし、ゴスペルや聖歌であってもよし、もちろんインストで例えばフルート独奏とかでもいいわけだ。
宗教のコミュニティが地域に根差しているんだな。
ドラムは特別良いものでも安物でもなく、きちんと整備されていて叩きやすい。
Pearlの古いタイプかな。
チューニングも文句なし。
ひっさびさ過ぎる!
しばらくバケツばかり叩いていたからなあ。
最後に叩いたのは、確か昨夏エスポーでトゥオマスと一緒にアアルト大学でジャムったときだ。
基本的な8ビートから、適当に叩く。
ゴードは少し裏をどこか見ていたが戻ってきて、
ホールの後ろの方の席に座ってラップトップを開いて何やら仕事をしている。
バケツを叩く場合、出せる音には限りがある。
基本的には、
・ヘッド=バケツ底
・リム=バケツ底の縁付近の線状の部分
・バス=足でバケツを持ち上げて地面にヒットさせる
この3パート。
加えて、リムを叩く際のスティックのショルダー位置によっても音がグラデーションできる。
チップ近くで叩けば高い音が出て、グリップ近くで叩くと低い音が出せる。
あとはスティック同士を当てるとか、片方のスティックでヘッドを押さえた状態で別のスティックで叩くとか。
あと足でバケツを持ち上げた状態だと、上げている高さによっても響きが変わってくる。
これらの音色を、音量差とリズムで聞かせる。
これだけの音色・音階があれば、一応曲は作れる
ただ、一個一個の音色が似通っているか、極端に音量差が違うために、バランスよくラインを作るのが難しい。
生のドラムの場合だと、スネア、バス、タム類は音色が似ていて、シンバル類はまた似たグループになる。
音がかけ離れているイメージとしては、ドラムで言うと、
ドラムセットの中にベル(シンバル)、クラッシャー、カウベル、タムのリム、タンバリンを混ぜてリズムを刻む感じ。
どれも音量が小さかったり、音色が他のタムやシンバルと違いすぎて「浮く」。
だからどうもやりにくいのだ。
こうしてドラムセットを叩いてみて、改めてシンバルとドラムという各パーカスがうまく調和するように作られていることを感じさせられた。
まぁ、特にここで披露することもないし、わざわざ基礎練習しても仕方ない。
気の赴くままにドカスカ叩いてからゴードと一緒に戻った。
特にノーコメントだった。忙しいのかな?
夕飯が出来た!
大きなサーモンの切り身をハーブと一緒にオーブンでじっくり焼いたものだ。
食べると口の中でフワッとほどける。
魚の脂の甘み。
最高にうまいぜ。
夕飯を終えて今日はもうおしまいかと思いきや、実はまだ一つ、大きなアクティビティがあった。
それは、スケートリンクづくり。
な、なんだって??
ここの家のすぐ近くに広場がある。
冬になるとそこの一画に気枠を作って、水を撒いて子供用のスケートリンックを作っている。
で、そのスケートリンクも、一日みんなが滑ったり、あと雪が降ったりするとリンク面が凸凹になる。
それを、近所の住人たちで曜日持ち回りでならすのだそうだ。
空気が冷える夜中に行うのがいいそうで、この時間帯になる。
さ、さみいぃ。
しっかり着込んで、リンクへ向かった。
野球部が使うトンボのような器具を使って、リンクの上にある雪と、削れた氷をかき集めて枠外に出していく。
これがなかなかの重労働だ。
着込んだ服の下で汗ばんできた。
露出した氷面に、ゴードが消防用のゴツいホースで水を撒いていく。
これが撒いた傍からどんどん凍っていく。
だから水浸しにはならない。
この水まきも体力が必要なうえに、まんべんなく撒かないと凸凹になっちゃうため均等に撒く技術を要する。
前半はゴードが撒き、雪かきを終えた俺が後半を任された。
面白い!
全面に水を撒ききってリンクが平らに凍ったらおしまいだ。
ホースの口に水が凍って王冠が出来ている。
東京じゃ絶対に見られない光景だな。
初だから楽しいけど、これを毎冬、毎週やらないといけないってなると結構イヤだね(^_^;)
お父さんのお仕事なんだな。
一仕事終えたらデザートに手作りチョコブラウニー。
アイスを添えて。
うま!!
カナダ人の、生の生活に触れられた一日でした。
これは一人旅のバックパッカーじゃ経験できない。
キルク一家のみんなとの出会いとご厚意があって初めて成り立つものだよな。
当たり前と思っちゃいけない。
ほんとに、ありがとう。
カナダの夜は寒いが、人は温かい!
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