Moi!
こんにちは、ロニーです。
最近は資格試験の勉強や闘病のためにしばらくブログ更新できてませんでした。
それらのエピソードに関してはまた後日。
さて今回は全3話に分けた、
「正しい情報を得るには」の第3話になります。
正しい情報や有益な情報を受け取る際、よく言われるセリフがあります。
それが、
「誰からの情報であるかが重要」
というものです。
うん、それはそうですよね。
例えば見ず知らずの人が道端で「地球はもう滅亡する!」と訴えていたとしても、
それを真に受ける人が多いとは思えません。
しかしそれを主張しているのが天文宇宙学者だとか、
地質学者だとか、疫病や病理学の第一人者だったらどうでしょう。
その筋の専門家の意見であれば当然信憑性が増します。
なので「誰からの情報であるか」は、
信憑性を図るうえで重要なファクターなのです。
しかし一見その通りと感じられそうな、
「誰からの情報であるか」が正しい、という主張には、
危うさも含まれています。
どこが危ないか、わかりますか?
危ういのは、
自分が「この人の情報は信用できる」と一度思い込むと、
その人以外の情報を拒絶してしまいがちという点です。
情報を発信する人の多くが、
「この情報はホンモノである」と主張します。
そして様々な理由をつけて自分の情報が正当であることを主張し、
相反する意見を持つ他の人の情報はフェイクであると訴えます。
もし「この人の情報はホンモノだ!」と強く信じると、
その人の主張と相反する情報はみんな間違ってると思ってしまいます。
人には最初に得た情報や、
自分が過去に経験した情報をもとに他の情報を判断するため、
最初に「これが正しい」と一度学んでしまうと、
そのあとの情報を疑ってしまうものです。
最初に得た情報、最初に正しいと思った情報であっても、
フラットな目線で後続の情報と一緒に俎上に挙げて、
比較検討して初めて、
情報を公平に比較できていると言えるでしょう。
「誰からの情報であるかが重要」という主張は、半分間違っている
上記のサブタイトルの通りですが、
「誰からの情報であるかが重要」という主張は、半分間違っています。
全く根拠のない情報源から得た情報は信用できません。
情報源がどこであるかは重要になってきますが、
だからといって特定の情報源がすべて正しいとは言えないためです。
本当に重要なのは、その情報が正しいことの裏付けを自分が確認できるかどうかです。
発信者が誰であっても、
その情報の正確さや、正しさの度合いを示すために必要な証拠は変わりません。
「本物の情報である」と主張する人が、仮に
大富豪であろうと、
大統領であろうと、
教授や教祖や政治家のような権威を持っている人であろうと、
主張の論理が正しく、
その論理を裏付ける証拠が正しく、
またその証拠が明示されていない限りは、
100%正しいとは断言できません。
大富豪や大統領や権威を持っている人の場合、
確かに多くの情報を得る立場にいると言えます。
一般人や非専門家では得られない情報を得ている可能性は高いです。
しかし、彼らが受け取ったその情報の出どころや、
その情報を裏付けるデータが示されない場合、
むやみにその主張を信用してしまうのは危険です。
彼らがみな情報リテラシーが高いとは限りません。
歴史上、一国の首相や大統領が間違った認識や偏見や陰謀に振り回されてとんでもない間違いをした例は多くあります。
前回のブログで取り上げたヒトラーの件が良い例です。
また政治家や首相や大統領というのは、
一般人でもなることが出来ます。
特別な資格や才能は求められません。
日本でいえばいわゆる「三バン」(地盤、看板、鞄)というハードルがあるため、
議員や歴史上の人物の家系、
地主や地元の名士、
有名人やビジネスで成功した富豪が選ばれやすいという事実はありますが、
それでも民主的な選挙を経て選ばれた普通の人です。
よって「一般人とは違う情報リテラシーを持っている」
と考えるのは無理があります。
そしてさらに言えば、
権力者、権威のある人でも、
勘違いや間違いは犯すのです。
また発信者の情報リテラシーが高かったとして、
その発信者がどのような意図で発信しているのか、
そこを見誤るのも危険です。
大勢を束ねる人物は、
その組織下の人々の未来に対する責任があります。
仮に面倒を見ている100人のうち、10人を犠牲にすれば90人を助けられるというような事態に直面した場合、
その責任者はどう判断するでしょうか。
全員を助けられる方法があれば当然それを取りますが、
一方を助け、一方を助けられない事態というのは、存在しなくはないのです。
例えばスタジアムなど人が密集している施設で、
爆発予告が起きたと想定してみます。
その情報が、責任者にすぐに伝わっても、
即座に「爆弾が仕掛けられていて危険なので全員今すぐ退場してください」とは言わないでしょう。
何千人、何万人という人が慌てて出口に殺到すると、
群衆雪崩などによりさらに多くの被害が出る場合があるからです。
銀行や企業が倒産するときも、
倒産が避けられないと確実に判明してから初めて顧客に伝えるものです。
そうでないと債権者が我先にと自分の資産を引き出し、
本来助かる余地のある会社に取っては
倒産という最悪のパターンの未来を加速して引き寄せてしまうからです。
同様に、パンデミックが起きる、戦争が開始する、隕石が墜落する、
そういったパニックを伴う大きな被害が予想される場合の大衆への情報提供は、
タイミングや情報の出し方を非常に慎重に検討して進められるはずです。
タイタニック号が沈没する際も、
船長は直前までその事実を乗客や船員に伝えなかったとされています。
(全員ではなく、一部の人には伝えられていましたし、
逆に3等客室の乗客の中には、沈没の危機を知ってなお避難を邪魔されたケースもありました。)
そう考えると、社長、機長、、船長など、
組織のトップが全体へと伝える情報には、
「隠された事実」というのがあって然るべきなのです。
そうかといって、
ではトップの言うことはすべて間違っている、
あいつらは必ず嘘をつく、と極端に反駁するのも間違いです。
人は、答えがはっきりしない状態や将来が見えない不確実性というものから強いストレスを感じるため、
安易に答えを出したがる性質があります。
よってすぐに白黒つけたり、
犯人捜しをしてスッキリとしたくなってしまうものなのです。
大きな組織の長たる人物は、
多くの場合、組織全体をよくしていこうとする熱意、良識、責任感を持っているものです。
全体を見て、そのうちの多数にとって良い未来になると信じて、決断を下します。
その結果、組織下にいる私たちの利益や信条と反してしまうことは当然ありえるでしょう。
そういった事情は理解しておく必要があります。
一国の長であれば、
福祉と経済と軍事と環境といった、
どれも重要でどれもないがしろにできない、
そんな複雑な意思決定において優先順位をつけて予算や行動に采配を振るわなければいけません。
親の気持ち子知らずといいますが、
似たような構図で、広い分野で責任を負っている人の決断を、
末端が完全に共感するのは難しいでしょう。
もしトップからの情報を正確に読み取りたいのであれば、
その人物がどのような心情を持っているか、
どのように考え、どのような癖があるのかを知ることで読みやすくなります。
「人を理解したれば、その友人を見よ」、という言葉もありますし、
「その人の本棚を見れば、その人の頭の中がわかる」という言葉もあります。
佐藤優的に言えば「内在的論理をつかむ」というのが大事です。
つまりその人の発言を鵜呑みにするでもなく、
拒絶するでもなく、
交友関係や過去の実績や第三者の評価などからその対象の人物がどのように考えるかを、
幅広い情報、バックボーンから情報を受け取って判断するのが大事ということです。
特別な情報を持っている人とは
一般人、組織の末端にいるような私たちが直接触れない特別な情報を持ってる人にはどのような人がいるでしょうか。
前項でも挙げた、首相、大統領のような国政のトップにいる人や、
閣僚、議員などは特別な情報を得られると考えられます。
いわゆる組織の「責任者」には、
その責任を果たすための判断材料が上がってくるからです。
直接そのような人物と交友がある人であれば、
特別な情報を得る可能性はあるでしょう。
ただし、本当に重要な機微に触れる情報は漏らさないものでしょう。
巷にリークされる情報というのは、往々にして意図的にリークされるものなので、
すっぱ抜いたものと考えるのは危険です。
「ある政府関係者から得た情報では」というやつです。
他に特別な情報を持っていそうなのは、
やはり公安調査庁や、各国の諜報部隊、インテリジェンス関係者です。
この辺りは、テロや国防に関する重要な情報をあらゆる合法的手段を用いて集めているため、
当然一般人が知らない情報を得ます。
ここで登場する情報は、
基本的には決して外部に漏れることのない重要機密であるので、
気にしても仕方がないレベルになります。
時たま、エドワード・スノーデンによる機密のリークの例や、
パナマ文書のようなものが世に出ると大騒ぎになりますが、
こういったケースは非常に稀です。
よって、
「重要な情報を持っている人からの裏情報」なんてものはほぼ存在しないに等しい。
こういった情報は完全にクローズドな環境で運用される情報であって、
関係者でない我々末端市民が触れることのないものです。
スパイが扱う情報のうち98%は公開情報だそうです。
新聞や公式Webサイトなどで公開されている、オープンな情報です。
またリサーチ業界では、
情報源は以下の順番に沿って探していくのがセオリーでだそうす。
官公庁資料、業界団体資料、シンクタンク資料、民間調査会社資料、そして新聞・雑誌。
価格の差はあれど、基本的に誰でもアクセスできるオープンな情報源です。
つまり信憑性の薄い何某からの情報を高価なお金を払って小出しに、そして伝聞で得られるかどうかよりも、
有益な情報源がどこにあってどのように手に入れるのか、
また個別の単なる一情報をつなぎ合わせてどのように読み取るか、解釈するか。
そのスキルとマインドが要になってくるわけです。
国家間では、お互いの本心や実情を、公文書や声明の中に匂わせます。
言葉の言い回しなどに隠されたシグナルをどう読み取るかで世界の未来が変わってきます。
もし「特別な情報を持っている人」がいるのであれば、
その人は多くの場合、人前に立つ機会が多いわけで、
その言動から何を読み取るかが我々が触れられる本来の、
「特別な情報を持っている人」から得られる情報となるでしょう。
本当に信用できる情報を得るのであれば、
特別な情報を持っている人が直接語る言動を追うのがセオリーであり、
「某政治家からの情報」
「某大富豪からの情報」
「裏の権力者からの情報」
といった、
彼らと繋がりがあると自称する匿名の第三者からの情報は、
眉唾というか、ファンタジーと受け取った方が無難でしょう。
もしそのファンタジーを、信憑性を持った現実の情報にしたいのであれば、
アポを取ってその第三者本人に直接会い、
次いで情報源となる本人を紹介してもらって直接会うほかありません。
僕は昔ウォーターサーバー詐欺に引っかかったことがあるのですが、
成功を確約していたその社長は大勢から集めた資金を持って雲隠れしてしまいました。
僕にその人を紹介した、代理店となった人も同じく被害者なのでその人を問い詰めても仕方ないわけで、
その社長本人の実態、所在、データの裏付けを取らなかった自分が悪かったと後悔しています。
いかに「特別な情報を持っている人」の存在や、
主張の根拠となる情報の源を自分の目と耳で確かめるか。
僕はその重要性を実感覚として身に染みているからこそ、
怪しい情報には過敏になります。
情報の真偽を見極める方法
前回と前々回でも話した、情報の真偽を見極める方法を再度確認しておきます。
ソースが何であるかをたどれること
情報源を示していない情報は架空のものと紙一重。
どこが発信しているものかを確認
自分が信用できる人から情報を得ることは重要ですが、嘘の情報発信者であっても、あらゆる心理学的な方法で人を信用させることが可能ですので、情報を批判的にとらえる癖はつけておくべきです。
根拠を確認できること
人も統計も嘘をつきますが、データ自体は嘘をつきません。
データが信頼できる形で生産されたものであれば、
そのデータ(=根拠)に直接アクセスすることが、
正しい情報を得るための条件として肝要です。
自分で再現できること
再現性があれば、疑う余地なし。
情報がオープンであること
オープンな情報は精査され、誤った情報は淘汰されていきます。
大勢の貢献や、精査されるまでの時間は必要ですが、
それによって洗われた情報は信頼性が高まります。
情報がまだ洗われていないのであれば、
自分で複数の情報源を突き合わせて洗い、磨いていくスキルが問われます。
結論
誰からの情報であるかが重要、という主張は、
半分正解で、半分間違いです。
信頼のできる情報源から情報を得ることは大事ですが、
その情報源が間違っているケースが当然あります。
そのため、複数の情報源をあたり、情報の真偽を見極められて初めて、
本当に信頼できるようになります。
常に疑ってかかることでリスクを減らせます。
認知バイアスによって人は、すぐに誤った認識をしてしまうことを自覚する必要があります。
認知バイアスとは、自分の過去の経験、周囲の環境、直観、統計学的な誤りなど様々な影響で正しく情報を認識できなくなる心理現象をさす言葉です。
そういえば最近認知バイアスがまた注目されてますよね。
妻のクルタさんがいうには、本屋でも多く平積みされているそうで、
また江戸川区の図書館でもここ数か月で急に認知バイアスに関する本が入荷されました。
おそらくコロナ禍や安倍首相の暗殺事件やロシアのウクライナ侵攻など、
センセーショナルな出来事が立て続けに起きたこともあって情報が錯綜し、
なにが正しい情報なのか、人々が意識しだしたのだと思います。
人はどんなに気を付けていても、認知バイアスからは逃れられません。
しかし、自覚することで認知バイアスによって大きな間違いをしてしまう頻度や程度は下げられるでしょう。
人はそれぞれに欲望があります。
それは情報発信者も、受け取る自分自身もそうです。
相手の欲望がなんなのか、自分は受け取る情報がどうあってほしいと思っているのか。
その欲望を真摯に、そして正確に見据えることができれば、
きっと情報を受け取る精度が高まります。
受け取った情報を最初から信じてしまったらそこでおしまいです。
だからといって、誰もかれもを信じない世界もまた疑心暗鬼に満ちた暗い世界です。
人を信じつつ、良い意味で情報の正確性を疑う。
そんなバランス感覚が、この複雑化した社会を生き抜く上では必要になるのでしょう。
さて3回にわたった「正しい情報を得るには」ですが、
これにて今回は終わりです。
堅苦しい話にお付き合いいただきありがとうございました。
以上!モイモイ!
参考文献
前々回(正しい情報を得るには vol.1 正しい情報などあるのか)と
前回(正しい情報を得るには vol.2 情報を得る方法)で
紹介したものは省略しています。
著者(一部は監修者): 書籍タイトル
上野佳恵 『「過情報」の整理学 見極める力を鍛える』
佐藤優 『ウクライナ「情報」戦争 ロシア発のシグナルはなぜ見落とされるのか』
エリック・バーカー 『残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する』
ハンス・ロスリング他 『FACT FULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』
池上彰・佐藤優 『新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方』
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