Moi!
こんにちは、ロニーです。
前回に引き続き、
今回のブログでは、
「正しい情報を得るにはどうしたらよいか」というテーマに関して、
正しい情報を手に入れるために調べ、考えたことをまとめようと思います。
ボリュームが大きくなってしまったので3話に分割していて、
今回は2話目になります。
情報媒体、メディアと呼ばれるものには、
色んな種類があります。
SNS、ブログ記事、テレビ、新聞、書籍などなど。
ただ、どの媒体にも山ほどの媒体、発信者がいます。
SNSには複数種類がありますし、
その中の発信者は、トランプ元大統領や企業の社長もいれば、
普通の個人、学生から主婦、サラリーマンまであらゆる人が含まれています。
ということは、そこはまさに坩堝(るつぼ)、
つまり玉石混交の情報が放り込まれているわけで、
受け取る人の情報リテラシーが問われることは必至です。
情報が正しいかどうかを判断する上で、
情報の裏付けが必要になります。
独ソ戦の例から見る、「情報の比較」の重要性
情報が真実であるかどうかを裏付けるためには、
もちろん実際に自分で見たり体験したりするのが最強のソリューションではありますが、
それは実際問題、なかなか難しい。
そこで役に立つのが、
「情報の比較」です。
同じ物事でも、異なる複数の視点から見ることで、全体像が立体的に見えてきます。
例えば、独ソ戦の例がわかりやすい。
第二次世界大戦のドイツとソ連の戦いでは、
ナチスドイツによるソ連への侵攻を食い止めたということで、
ソ連の勝利に終わりました。
またナチスはユダヤ人などへの虐殺からわかるように、
明確な「悪者」として扱われ、
戦争直後はすべてナチスが悪い、というような見方が主流でした。
また多くのナチス配下の幹部も、
ヒトラーに命じられて仕方なく加担した、と証言しています。
しかし、ソ連が崩壊すると、
徐々にソ連内部に隠ぺいされていた情報や、
ソ連・ヨーロッパ各地の被害の事実が表に出てきました。
多くの記録や証言を集めていくと、
事実は立体的になり、
単純な「ヒトラーだけが悪の親玉」ではないことが見えてきました。
ユダヤ人の虐殺や他国への侵略は、
ヒトラーによる洗脳に近い人員操作がきっかけとはいえ、
実際にはドイツ国民全体が自らの生活を向上させるために加担していた、
という側面があります。
またポーランドやハンガリーなど、東欧各地でも強く信じられていた、
「ユダヤ人がすべての元凶」という迷信により、
各地の一般市民が積極的にユダヤ人を虐殺に追いやったという側面もあります。
(もちろん東欧だけでなく世界中、長い歴史の中で方々で迷信・差別が広がっています)
ヨシフ・スターリンによる広範な粛清や愚かな失策によって失われたソ連内の人命も、
ナチスドイツに劣らず膨大な数に上ります。
戦地からの脱走者を銃殺するなどの制裁、
政策に反対する知識人や政治家の極端な粛清、
糧食の強制徴収のための地方村民の餓死、
ナチスに包囲された街が籠城戦となり多数の餓死者が出たりなどなど。
戦禍の中では、その空気や環境、状況にのまれ、
誰もかれもが正常な思考をできなくなっていたのが、
時を経てようやくクリアに見えてきたわけです。
こういった真実は、
多くの情報を多面的にとらえ、
また時間をおいて一歩引いた立場から、
丁寧に検証していったからこそ分かったものだと僕は思っています。
多くの、異なる情報を集めて比較するのは、
上記の例からも非常に有効です。
そのためにも、異なる媒体、
異なる発信者、
異なる立場の人から情報を集めた方が、
客観的に見られます。
というわけで、
今回は「情報を得る方法」にフォーカスして、
「正しい情報を得るには」という命題を考えていこうと思います。
情報を得る方法 – 情報を受け取る媒体の種類
普段、情報を受け取る媒体って色々ありますよね。
以下にざっと書き出してみました。
・個人の実体験、経験、偶然目にしたもの
・他人の体験談、インタビュー
・公式Webサイト
・個人や団体公式のブログ
・SNS、Voicy
・WikipediaなどのWeb上のWikiサービス
・書籍、辞書、図鑑
・論文
・新聞、雑誌
・マンガ、アニメ、映画
・TV、Tver
・ラジオ、Podcast
・Youtubeなどの動画サイト
・口コミ、口コミサービス
・ポスティングチラシ、DM、折り込みチラシ
・店頭や街中の張り紙、ポップ、ポスター、看板
・GoogleMapや食べログなどの評価サービス
・個展、美術館、史跡、博物館などの展示や解説
・情報商材(動画、メルマガ、記事など)
・Web広告、アフィリエイトバナー、動画広告、テレビCM、ラジオCM
こうやって洗い出すと、
多様な方法で目から耳から、
日々大量の情報を受け取っていることがわかります。
これらをカテゴリー分けする方法はいくつか考えられます。
例えば視覚的情報源、
聴覚的情報源といった種分けや、
オンライン、オフラインといった種分けなど。
分け方は複数ありますが、
受け取る情報が正しいかどうかという目線で考えてみると、
公的な情報であるか、個人発信の情報か。
1次情報か、2次、3次情報か。
またはソースがたどれる情報かそうでないか。
といった分け方が良いでしょう。
有料情報か、無料情報か、という種分けなどもできますね。
また別の方法で、
例えば信憑性が高い情報、低い情報、という種分けをしようとすると、
- 情報ソースが辿れること
- 再現性があること
- 根拠を確認できること
- 情報がオープンであること
などの条件に合致するかどうか、というフィルターにかけることになります。
ここで、上記で洗い出した情報媒体を、
信憑性フィルターに通して3段回に分けてみましょう。
信憑性が高い情報源
個人の実体験、経験
他人の体験談、インタビュー
辞書、図鑑
論文
個展、美術館、史跡、博物館などの展示や解説
信憑性にバラつきがある情報源
公式Webサイト
個人や団体公式のブログ
WikipediaなどのWeb上のWikiサービス
書籍
雑誌
新聞
信憑性が低い情報源
SNS、Voicy
マンガ、アニメ、映画
TV、Tver
ラジオ、Podcast
Youtubeなどの動画サイト
口コミ、口コミサービス
ポスティングチラシ、DM、折り込みチラシ
店頭や街中の張り紙、ポップ、ポスター、看板
GoogleMapや食べログなどの評価サービス
情報商材(動画、メルマガ、記事など)
Web広告、アフィリエイトバナー、動画広告、テレビCM、ラジオCM
大雑把に分けるとこんな感じでしょうか。
信憑性が高い情報媒体って案外少ないですね。
TVのニュースというものは、
放送の前の当然情報源の裏付けを取るため、
基本的には信憑性が高いものにはなります。が、
テレビというその仕組み上、製作費を支払うスポンサーの影響や、
2次、3次の情報源の使いまわしをするケース(視聴者からの投稿動画の利用等)、
放送時に情報ソースが開示されてないもの、
などが多く混ざるため、信憑性が低くなってしまいます。
「バラつきがある」と「信憑性が低い」の間辺りに位置する気がします。
新聞もスポンサーの意向や各紙の信条がよく反映されるものですが、
情報媒体としては、
ソースを記載する、編集が何度も入るなどの過程により中程度の信憑度に当たると判断しました。
また情報媒体の主役ともいえる書籍も、
出典をきちんと載せており、論理的に著述されているものもあれば、
憶測、想像、仮定、創作などと明確に切り分けができてない、
いわば情報源として参考にはならない娯楽本も多くあります。
僕個人的な経験では、多少偏見はありますが、
成甲書房、ヒカルランドの本なんかは信憑性、論理性が極めて低く、
徳間書店は眉唾、というか、
情報というより著者個々人の主張が主体になるので信じるか信じないか、みたいになるものが多い印象。
中央公論社や技術評論社、岩波書店、新潮社、山川出版なんかは安心して読めます。
書籍は基本的には校閲が入るためSNSよりも「まとも」とはいえ、
やはり玉石混交なので注意して選ぶ必要はあります。
そういわけで「信憑性にバラつきがある情報源」にランクインです。
他に信憑性が低い情報源としては、
個々人が好き勝手になんとでも匿名でいえてしまうSNSを中心に、
売り手側が煽って誇張して言えてしまう広告の類が多く入ってきます。
Web広告や街頭の看板やテレビCMなど、
モノやサービスを売る側は、
これまでに蓄積されたマーケティングや心理学のノウハウをふんだんに詰め込んだ広告、
そこにビッグデータを活用して視聴者にピンポイントにパーソナライズした訴求方法で
情報をぶつけてきます。
これらは常に疑って反論するくらいの心持で受け取るくらいがちょうどよいでしょう。
感情的に反応したら負けです。
食べログやRettyやGoogleMapの評価などの情報は、
実際に体験した人たちの意見が盛り込まれて星の数などで評価されるため一見信憑性が高そうですが、
これも実際には玉石混交です。
人によって辛口評価も甘口評価もありますし、
評価をする人にはサクラやお店の従業員なども混ざります。
これも僕の体験談ですが、
世界各地でGoogleMapの評価を見てきた経験上、
日本人は極端に辛口評価をして批判するのに対し、
中南米などでは激アマ評価が多かったです。
評価レートには国民性や地域性が出てくるわけですね。
なので低評価と高評価のそれぞれの感想を注意深く読んでいく必要があります。
メルマガに関しては、
きっちりと情報ソースやデータまで盛り込む正確なものもあれば、
売り口上や個人の意見に過ぎないもの、陰謀論満載モノまでピンキリです。
非常にクローズドな媒体であるし、
誰に向けて、いつ作成されたもので、どの程度の発信数をどのように配信しているのか不明です。
自分が受け取ったのとまったく同じ文章をほかの人にも送っているとは限りません。
情報商材には、
完全なデタラメや一過性のノウハウしかないゴミのようなものもありますし、
例えばUdemyで高評価が付けられている動画などは実務にすぐ使えて非常に有用だったりしますので、
これもピンキリです。
マンガやアニメ、映画などは、
これはもう基本的にフィクションなので例外なのですが、
一応形式的に信憑性が低い方に振り分けました。
マンガなどの中には歴史ものや、
科学的な裏付けのある重厚なものも多くあるので、
信憑性が低いと切り捨てるにはもったいないものではあります。
正しい情報を得る場というよりも、
新しい世界や見方を知る入り口としてはとても良いと思います。
「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズは一見科学的な解説がされているけれどトンデモというかファンタジーですし、
「闇金ウシジマくん」は震えるほど怖い内容ですが綿密で徹底した取材を重ねていることから、
限りなくリアルに近いフィクションと言えます。
さて3つに分けたこれらの情報媒体ですが、
信憑性が高いものだけ選べばよいね、というわけでもないと考えています。
信憑性が低いものや、信憑性がはっきりしないものを、
信憑性が高い情報と突き合わせてみたり、
自分で再現したり実際に見に行ってみる。
また同じテーマの信憑性が低いもの同士を多く集めて統計を出したり、
情報源同士の矛盾を浮かび上がらせるのも、参考になります。
こういったアプローチから、
なぜ人々が信憑性が低い情報を真に受けてしまうのかが見えてくることもあるわけです。
アドルフ・ヒトラーは実は結構な読書家でした。
その蔵書も結構な冊数が明らかにされていますが、
その中には陰謀論の古典でもある『シオン賢者の議定書』が題材となった、
ヘンリー・フォード著の『国際ユダヤ人』なども含まれています。
『シオン賢者の議定書』 (『シオン長老の議定書』などとも。)は、
マキアヴェリとモンテスキューが対話する形式をとった、ナポレオン三世を風刺するフィクション書籍、
『マキャベリとモンテスキューの地獄での対話』という本をがっつりパクったものです。
内容は、シオンの賢者と呼ばれるユダヤ人指導者たちが世界を牛耳ろうと計画している、というもの。
ちなみに『マキャベリとモンテスキューの地獄での対話』ではユダヤ人については触れられていないといいます。
(そちらも読んでみたいですがまだ未読。。)
『シオン賢者の議定書』はフィクションでありながら、
それがアメリカ、ヨーロッパやロシアなど各地で真実だと誤認され、
あるいは都合よくユダヤ人排斥の主張の裏付けに使われたことで広がってしまったものです。
この本はアメリカで、反ユダヤ主義を激しく訴えていた、
自動車会社フォード・モーターの創設者ヘンリーフォードによって参照され、
その情報や論理は『国際ユダヤ人』という4冊の本としてさらに広められました。
ヒトラーは、『国際ユダヤ人』やフォードの出していた新聞の内容に傾倒していました。
自分の部屋にフォードの肖像画も飾っていたといいます。
これらの本、情報は明らかに偽物であると結論付けられている、
ということを専門家に告げられてもなお、ヒトラーは
「歴史的な意味でこの物語が真実であるかどうかということは、私には関係ない。
もし真実でなくとも、本質的な真実は、それだけ一層、私にとって、確固たるものとなる。」
と認識を改めず、ユダヤ人を殲滅すべきとの考えを深めていきます。
またヒトラーは優生学やカール・ハウスホーファーによる生存権理論なども学びますが、
それらを恣意的に解釈し、悪い方に持論を固めていきました。
さて翻って現代、
出版されている陰謀論系の書籍の著者には、
元大使や教授など立派な肩書の人もいますが、
それらの主張の持論の中には、
このヒトラーが参考にしていた『シオン賢者の議定書』がルーツにある情報も含まれているのが、
読んでみるとわかります。
当時はヒトラーの主張を大勢のドイツ国民が受け入れてしまったのですから、
現代人にも陰謀論や都市伝説の類に入れ込んでしまう人が多いのは、
おかしいことではありません。
このように一例として『シオン賢者の議定書』や『国際ユダヤ人』や陰謀論を上げましたが、
信憑性が低い情報も、
読み合わせていけば見えてくるものもある、というわけです。
まぁ、信憑性が低いものにわざわざ時間を割くのは、
無駄が大きいのであまりお勧めはしませんが。。
信憑性が高い情報を得て丁寧に思考を積み上げていく方が確実ですね。
情報の真偽を見極める方法
さて、今回は情報媒体の種類などを挙げてきましたが、
前回のブログ内容とも共通する、
「情報の真偽を見極める方法」についておさらいです。
情報の真偽をを見極める上でチェックしたい条件は、主に以下の5つ。
- ソースが何であるかをたどれること
- どこが発信しているものかを確認
- 根拠を確認できること
- 自分で再現できること
- 情報がオープンであること
どんな情報媒体から受け取る情報でも同じですが、
上記の条件を満たせるのであれば、それは信憑性が高い情報となります。
全部覚えておきたいところですが、
5つを常に暗記しておくのは面倒なので、
例えば情報を得たときに、
「これは本当かな?本当であることか嘘であることを証明できるかな?」
と毎回疑って検証してみる癖を持つのが手っ取り早いです。
今自分はSEとしてIT業界で働いています。
コンピュータは1か所、どれだけ些細な部分でも間違いがあると思った通りに処理してくれません。
プログラムにちょっとした書き間違いがあったり、
手順に1か所、操作の順番が入れ替わっているだけでエラーが出たり大事故になったりします。
それゆえに、
普段から徹底的に
「これは本当か?正しいことを示す根拠は何か?」
「間違いはないか?間違ってないことを示す論拠は何か?」
ということを考えて行動する習慣がついています。
1個1個の動作、行動、発言、記録、
一挙手一投足に「正しいかどうかの裏付け」を求めます。
おそらくそのこともあって僕は「正しい情報」という部分が気になってしまうのでしょう。
雑に主張するとすれば、
「みんなIT業界で一度働いてみるといいよ!」
なのですが、
IT業界でも「多分」「よくわからないけど」「なんとなく」「~だと思う」を連呼する人がいるので、
さすがに強くは主張できないです。
プログラムを書くほどではないにしても、
同じように「正しいか?」「それが正しい根拠は?」を意識して情報に接する習慣をみんなが持てるようになることを願います。
結論
今回の結論!もう長いので簡潔に行きましょう。
「情報は、必要なパーツを集めて比較検討する」
論文と同じように、複数の情報を突き合わせて検討する作業は必須です。
医学、薬学、航空力学、原子力科学などのように、
間違いがあったら人命に関わるようなテーマではなおさら、
研究結果が正しいことを示すために複数の段取りを取ります。
そのうちの一つの条件は、
「同じ研究に関して、同様の結果を示す複数の論文が出されているかどうか」です。
ある薬を新しく作って、それに効果があることや、副作用がないことを示すためには、
大勢のまとまった臨床実験の結果が必要です。
そしてそれは、1回や1か所や1種類の団体ではなく、
時間や場所や対象を変えて複数回実施して初めて、「本当に効果がある」「本当に安全である」
と言えるようになるわけです。
正しい情報を得るために、
可能な限り多くの、複数の媒体の情報を集めて比較するようにしましょう。
たとえば、SNSで何かの情報を得たとしたら、
意見の違う専門書をそれぞれ確認してみる。
過去の新聞やニュースを探ってみる。
他の人の意見も聞いてみる、といった具合です。
単一の情報を複数の情報源から立体に見ることで、
フェイクニュースや陰謀論を退けて、
真実に近づいていきましょう。
参考文献
今回の参考文献です。
前回(正しい情報を得るには vol.1 正しい情報などあるのか)で
紹介したものは省略しています。
ヘンリー・フォードの『国際ユダヤ人』は手に入らず未読です。
著者(一部は監修者): 書籍タイトル
大木毅: 『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』
アドルフ・ヒトラー: 『わが闘争 上 Ⅰ民族主義的世界観』
ティモシー・ライバック: 『ヒトラーの秘密図書館』
ノーマン・コーン: 『ユダヤ人世界征服陰謀の神話 シオン賢者の議定書』
ラビ・アブラハム・クーパー 他: 『「シオン長老の議定書」の大嘘』
原田実 他: 『危険な歴史書「古史古伝」と「偽書」の謎を読む』
佐藤優: 『危機の読書』
木下是雄: 『理科系の作文技術』
馬渕睦夫: 『世界を破壊する者たちの正体 日本の覚醒が「グレート・リセット」の脅威に打ち勝つ』
馬渕睦夫: 『日本人が知らない世界の黒幕 メディアが報じない真実』
「世界の歴史」編集委員会: 『もういちど読む山川世界史』
情報文化研究所: 『情報を正しく選択するための認知バイアス事典』
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