2019年3月28日(木)
Guatemala Antigua 〜 San Marcos La Laguna
グアテマラ アンティグア 〜 サンマルコス・ラ・ラグーナ
早起きだった最近と比べたら少し寝坊助な8:00起床、
しばらくメールチェックなどベッド上でモゾモゾ。

テラスに上がると、スタッフのウィンがパソコンで動画通話してた。
マドリードにいる女友達と話しているのだそう。
邪魔をしないようにストレッチと気功、少林の基礎練をした。
うむ、だんだん習慣化してきてて我ながら良いのでは。
丸2日出来てなくて少し気持ち悪く感じていたのだ。

シャワーを浴びたらマーケットに朝ごはん用の卵を買いに出かけた。
せっかく立派なキッチンが付いてて、真裏には市場があるんだ。
料理欲を満たすぞ!
卵を買いたいのと、
あと日本人ブログで話題に出る、マーケットの中の日本人肉屋さんを探しに行きたい。
そんな旨を出がけにオーナーのターニャさんに話すと、
ちょうど出かけるところだったそうで、わざわざ卵屋さんまで案内してくれた。
「今日はちょうどマーケットデイよ!新鮮なものが手に入るわ」
とのことで、昨日の閑散としたうら寂しさは何処へやら、勢いよく行き交う人々と掛け声で超絶賑やかだ。


この宿キャピタントムの人、みんな死ぬほど優しい!!
ここまで積極的に世話焼いてくれるホステルなんて今までなかったぞ。
台に雑然と積まれた生鮮品もツヤがあって、トタン屋根の隙間から差し込む朝日にピカピカしてる。

卵はカートンっていって数十個単位で買ったり袋買いしたりすれば割安になるけど、バラだと通常価格になってしまう。
1個1ケツァール(14.5円)で、3個分を購入した。
卵を割らないように両手でガードしながら迷路のマーケット内を人をかき分け、かき分けられながら歩き回った。
中々見つけられず諦めかけた時に、
見つけた、日本語の看板!
「Maribri(まりぶり)」
宮崎駿のような白髪の日本人のおじさんと、現地人らしき人。奥さんかな?

「どうもこんにちは〜」
物腰柔らかい!
訊ねてみると、カツ丼、マジである!
「注文してから30分くらいはかかってしまいますが…」
ってことだ。
もちろん、昼飯用だから、正午にまた取りに来ますよ!
こちら、肉屋まりぶりで扱っているのは、牛肉だ。
それならば、とメキシコ以降ずっと気になっていた牛の飼料について尋ねてみた。
「グアテマラ産の牛って、餌に穀物を与えているかどうか、ご存知だったりしますか?」
「牧場によって違うだろうけど、基本的には放牧で牧草を食べさせてるねぇ。
日中牧場に出して水を飲ませ、草をはませ、夜には牛舎に戻させてるのを見るよ。
人間が食べるような食べ物、トウモロコシとかをあげてはいないんじゃないかな。」
おお!
これはやはりグラスフェッドの可能性高い!
「僕はちゃんと勉強してないから分からないんだけど、
知人が牧場やってるから、時間をもらえたら聞いといてあげるよ。」
うわああ!ありがとうございます!!!
ちなみにグアテマラ産のバターについても聞いてみた。
グラスフェッドバターの可能性が高いのであれば、バターコーヒー用のバターを買っておきたい。
「それならそこのお店で聞いてみようか。」
と、わさわざ腰を上げて隣の通路の乳製品屋さんを紹介してくれた。
「グアテマラ産のバターはあるかね?」
「これがそうかも知れないわね」
とおばさんが手渡してくれた、100gの無塩バター。

まりぶりの金子さんが小さな表記を読み込んだところ、コスタリカ産だった。
うん、中米産なら状況が似通ってるはずだ。
値段も12.5ケツァール、180円くらいと馬鹿高くない。
買ってみよう!
「ほんとにありがとうございます!!また後で受け取りに来ます!」
と挨拶して宿に戻った。
道を覚えておかないとな。

早速買ったバターと卵を使ってオムレツを作った。
バターはグラスフェッドバターの特徴でもある鮮やかな黄色をしている。

一般的なグレインフェッドが白っぽいクリーム色をしているのに対して、グラスフェッドバターはトウモロコシとかバニラの花みたいな、鮮やかでくっきりとした黄色味を持っている。
というのが俺の経験。
これは期待できるかもしれない。
昨日市場で買ったやっすいアボカドをまた一個開けたけど、
種がデカくて身が少ない上に傷んでて残念なものだった。

さて、テラスで朝食!
あぁ、なんて贅沢な環境だ!
遠くの山を見ると、昨日は雲に覆われていた火山がよく見えた。
中米の移動について情報収集してから、お昼を待ってカツ丼を受け取りに向かった。


カツ丼を受け取りながら、金子さんと連絡先も交換した。
「私は43歳でサラリーマンを辞めて移住して、もうら20年になる。
昔は南米も行ったけど、最近はもう外に出るのが億劫になってしまってね。
歳をとればとるほど、動く意欲がなくなるんだ。」
「人は死ぬ間際に、だいたいみんな、あれしとけばよかった、って後悔するらしいんだ。
なるべく若いうちに、意欲があるうちにやりたい事をやった方がいいよ。
どんどん面倒くさくなっちゃって、やる気すらなくなってしまうからね」
旅人、海外移住の大先輩だ。
言葉の重みが違う。
後悔しない人生を送るために、やりたい事は全部やってこう。
よく頭を身体を使ってね。

14:00までまだ少しある。
気になっていたカフェ、Estudioに寄ってみた。

アメリカンは12ケツァール、ハンドドリッパーでちゃんと入れるヤツは25ケツァール。
カフェラテ14ケツァール。
ここは久々にラテを頼んだ。



中庭には藤のようなツタ植物があって可愛らしい!
不安定だけどWi-Fiもあって快適だった。
あ、蚊に刺された…。笑




宿に帰宅してお昼ご飯のカツ丼!

めちゃ美味しい!
米がもうちゃんとした日本米だし!
肉が硬めなのはやっぱりグアテマラ牛の肉質と、
あと雑菌やウイルス対策のためにしっかり火を通した結果に違いない。
思い出すなぁ。旅のお金貯めるために五反田で、
美味しそうなラーメン屋、焼き肉屋、肉バルなどを横目にグッと堪えてなか卯とかつやに通いつめてたなぁ。(遠い目)

14:20、遅れて迎えのシャトルバスがやってきた。
アティトラン湖まで行くぞ。
スペイン語を話す若者たちと1人のお婆さんと共に詰め込まれた。

3時間、延々と走り続ける。

途中のテクパンって町外れでトイレ休憩を挟んだ。
売り込みに来ていた青年からカモテを1個買ってみた。
カモテはスイートポテト、つまりサツマイモの焼き芋だ。

皮はなくて、甘ーく火を通してある。
砂糖の類が使われてるかどうかは判別つかないけど、使っていないのなら驚くくらいにとても甘い。
クネクネと続く山道を進む。
かなり標高が高そうだ。

峠を越える時には雲の中に入ったくらい。
湖が見えてからも急勾配かつ急カーブ連続の坂道を下り続け、
17:30、シャトルバスはサンペドロ・ラ・ラグーナの手前で止まった。
ここからはトゥクトゥクに乗り換えらしい。
人生初トゥクトゥク!
小さいトゥクトゥクに無理やり4人の客と4人分のバッグパックを乗せてトゥクトゥクが坂道を上り下りする。
俺は運転手の右側にくっついて落ちないように必死でしがみついた。

途中でトゥクトゥク乗り換えた。
この代金まで全部込みになってる。
アスファルトがデコボコすぎて車体も荷物も身体もガッコンガッコン弾む。
座面がただの木の板だから痛ぇ。

二箇所のホステル候補がある。
まずは1軒目、Villa Tzankujil。
トイレシャワー付き、Wi-Fiもありのシングルルームだ。
他に泊り客がいないので実質貸切状態だ。
朝食はなしで、65ケツァール。
ふーむ、アンティグアのキャピタントムと比べると高いな。
出来ればドミトリーの方が友達できて良いんだよな。
ここに決めちゃいなさい!他のホステルは100ケツァールは取るから!というおじさんの強い押しを脇に置いて、次の候補に向かった。

AHAU HOSTAL。
地図のポイントが道路から離れたよく分からない所にある。
最寄りになりそなうな急勾配の坂道を進んでいったら、遊んでいた子供達がワラワラと寄ってきた。
「アユーダ?!アユーダ?!オスタル?!アユーダ?」
なーに言ってるか全然分かんねー。
でもみんな真顔なのが怖いんですけど。
しかもどんどん集まってくる。
これヤバイやつ?
一旦止まってグーグル翻訳したら、ayudaはhelpらしい。
ああ、荷物運ぶとかタクシー呼ぶとかで手伝う代わりに駄賃よこせってことか。
はぁ、遊んでる手を止めてまで金稼ぎにたかってくるなんて、凄い悲しくなるな。
信じられないほどの急な上り坂をゼイゼイと息をしながら汗だくで登っていく。
よ、よし、この辺に、ホステルが、あるはず…!
ブッキングドットコム、で1番安かったのは、辺鄙な場所にあるからなのかも、しれない!
はぁはぁ!
え、どう考えても宿ないですよね?
地図見てももう少し通り過ぎてるよね?
ウソだろい…
AHAU HOSTALの位置を指でポチッと押したら、指し示す場所が変わった。
ぬおおーい!
なんで場所変わるんだよー!!
この坂道登る必要なかったじゃないか!
くっ、この急な坂を今度は下るのか…
振り返ると2人の警察が歩いてきた。
「はい、じゃあ荷物見せてね」
???
「心配しなくていいよ、普通のことさ。全部開けて」
え、やだ…
ここで?ここで俺のパンツとか寝袋とか全部出せってーの?
なぜか急な検閲入りました。
山道の入り口、道路の真ん中で荷物をポケットひとつひとつまで全て開けさせられる。
もうええやろ…と思うけど隅々まで全部綿密にチェック。なんでやねん。
「ん、行っていいぞ」
カバンの中身が半分くらい山道に出てる状態で手をヒラヒラさせる若い警官2人。
なんだよこいつらーチクショー!
そのまま2ケツノーヘルで警官2人はまた山道を下っていった。
…
ハァ…
大汗かきながら下り坂を降りてくとまた子供達が集まってくる。
「アユーダ?アユーダ??」
「ホテルの場所案内するよ!」
「トゥクトゥク?タクシー?」
あああウザいいいい!!!

多分こっち…
客引き子供を振り切ってAHAU HOSTALの入り口と思しき場所にきた。
うーん、見当たらない。
近くにいた人に聞いたら、その道の先だよ、と教えてくれた。
こ、ここ?
家の隙間の狭い未舗装小道をカバンを担いで縫っていくと、数十メートル先にAHAU HOSTALの門が現れた。
分かりづらいわ!!

客なのかスタッフなのかよく分からない人が案内してくれた。
明るくてかつユルい雰囲気の彼女はヴェロニカ。
顔を合わせる人全員とにこやかに会話をして、その都度ガッツリとハグをする。
さて、この宿はドミトリーで、1泊75ケツァール。
あらら、さっきのとこより高くなっちゃったよ。
ただし朝食付き。

ここアハウ・オスタルの特徴は、ヒッピーコミュニティになっていることだ。
「ここでは極力環境負荷をかけないで自然と一緒に生きるような生活スタイルを取っているの。
庭にあるハーブや野菜は自由に使っていいよ。トイレはコンポストになってる。使い方はわかる?」
あぁ、コンポストトイレはミッケリのトゥオマス達のケサモッキでも使ったし問題ない。
シャワーは野外にある、竹の壁で囲われた簡易的な水シャワーだ。
各部屋のある建物の1階はオープンキッチンとリビングになってて壁は三方吹き抜け、
座卓と座椅子が並べられてる。

これは中々珍しくて面白い!
誰も泊まってないシングルルームより絶対楽しいや。
チェックインをしてドミトリーに荷物を置いた。

少し宿のお客さん達と話したりしてるうちに陽が落ちて暗くなった。
おっと、夕飯の食材を買いに行かねば。
沢山はいらないけど、肉か卵と野菜が欲しいな。
ヴェロニカに聞いたら、この辺は別に夜出歩いても大丈夫なようだ。
念のため大金を持って歩いたりしないように。
あちこちにカフェバーと、あとやたらと健康食品のお店が多い!
どこの町にもあるもんだけど、オーガニックフードだのパワーフードだのを並べているお店がこんな田舎に何軒も並んでる。
凄い異様な光景だ。
だって正直ラテンアメリカの人達、健康を意識してる人いるの?って思うもん。
「タバコ、酒、砂糖、炭水化物、ラブ!」って感じの生活習慣だもん。
きっと海外からのヒッピーや健康思考の人たちが集まってきて大きな需要を生み出してるんだろな。

無事小さな商店で卵とパプリカとトマトを買えた。
アンティグアより少し安いくらいかな。
卵は変わらず1個1ケツァール。
気配を消すようにしながら足早に帰宅して、早速調理に取り掛かった。

パプリカとトマトとキッチンのあまりの玉ねぎの炒め物、アボカド、あと目玉焼き。
「わーお、ビッグなディナーね!そんなに食べるの?」
この気温、食材残すとすぐ腐っちゃうからどうしても多くなっちゃうんだよなー(^_^;)

日中は何人もいたはずの泊り客が中々顔を出さない。
出かけているのか、寝ているのか。
ご飯を食べながらヴェロニカと話をした。
旅、宗教の話。
こんな話題もあった。
「ロニーは夢の世界に関してどう思う?」
夢ってのは、日中に得た記憶や感情を整理して、
過去の記憶と結びつけたり忘れさせたりしながら、
長期記憶に定着させる段階で映像化されたものだ。
不思議なもので、表面的には忘れてしまっている遠い昔の記憶も、
夢の中で掘り起こされて不意に現れたり、昨日の出来事と結びつけられたりする。
逆になぜかもどこなのかも思い出せないけど、何度も現れる光景があったりもする。
その光景をある時ふと現実で見つけることもある。
夢自体に超自然的なものなどないけど、
そう思わせるような不思議な体験を与えてくれるから楽しいよね。
「私は小さい頃にお母さんが死んでいるんだ。
病院に呼ばれて行ったけど小さかった私は寝てしまって、
起きたらもうお母さんは息を引き取ってたわ。」
「そのことを長いこと後悔していたんだけど、ある日、
大人になってからお母さんが私の夢の中に出てきたの。
あの時は看取れなくてごめんねって謝ったら、
え、何が?謝る必要なんかないわ、と笑って言ってくれた。
夢が、長い感情のわだかまりを無くしてくれることもあるのよ」
おお、おお。
それ、俺もかなり似たような体験してるな。
「あなたは瞑想はする?」
「いや、瞑想はまだたまーに自己流で思いついたらやる程度…」
「瞑想がきっとあなたをもっといい方向に変えてくれるわ」
ははぁ。
この旅で出会った素敵な人たちは、みんな何かしらの瞑想習慣があると言っていた。
ヌスフィヨルドのアングンおばさん
モスタールのニコ
グラストンベリーのケキー
オアハカで会ったチャンドラー。
そういえばロサンゼルスで会えたデイヴ・アスプリー氏も。
これらの出会いから、瞑想が、人を幸せにさせる人格を形成する可能性が高いんじゃないかと実感してる。
それが俺も今目を向けてる理由の1つだ。
俺らが話しているところに、宿に泊まっている女の子のメイレンがやってきた。
手に持っているのは、ジャグリングで使うような、ボールがついた紐。
火をつけて振り回したりするようなやつの、ライトバージョン。
「難しくてできない〜」
「こうするのよ〜」ってヴェロニカが手ほどきしてあげた。
リビングの明かりを消して振り回すと、赤、緑、青と点滅する光が暗闇に浮いて円を描いた。

その光に呼応して、何か別のものが光った。
「ホタル!!!」
「Hotaru?」
「この光る昆虫は、日本では蛍って言うんだ。綺麗な水と自然が必要だから今は数が減ってしまってレアなんだよ」
「へ〜。ここではいつでも見られるよ」
まじかー!
すげー!!
自分の記憶の中には見た経験がない。
初めて見る蛍の光は想像していた以上に力強かった。
ううー、カメラの精度が良ければなぁ。
暗闇での撮影はてんでダメなんだよー。
「いつでもまた見に来ればいいのよ」
と、ヴェロニカが笑った。
オススメの音楽を教えて、と聞かれてYouTubeで検索したOmnia。
幻想的なハープの音が、静かなで穏やかな夜を、この上なく完璧に彩ってくれた。


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