2018年12月17日(月)
UK-England Bristol 〜 Bristol Airport ~ Bristol ~ Glastonbury
イギリス イングランド ブリストル 〜 ブリストル空港 ~ グラストンベリ―
ちょっと暑いくらいのホステルの部屋で目を覚ました。
窓の隙間から晴空が見えた。
よっしゃ!グッドモーニング!
ホステルに付いていた朝食は、食パンとシリアルに、リンゴかオレンジ。
身の入ってないラスベリージャムとマーマレードとバター。
牛乳、100%のオレンジジュース、コーヒー、紅茶。
これと比較するとトルコやチュニジアやモロッコの朝食は豪華だったな。
チェックアウトの時間までウェブ作業。
移動するのも、泊まるのも、食べにいくのも、観光するのも、とにかく情報が必要だ。
きっと調べないでも全部なんとかなる。
そのかわり値段は跳ね上がる。
ホテルや食事の値段なんて青天井だから、
行き当たりばったりで行ったら低価格帯の10倍だってあり得る。
1000万円くらい予算があれば、そんな「値段を一切気にしない旅」が出来たりするのかな。
チェックアウトして荷物を持ってコーチバスステーションにやってきた。
Rock & Bowlホステルから歩いて5分。
「カモが来たぞ!ヘイマイフレンド!!」
「待てアイツは俺の獲物だ!」
「いーや俺だ!俺なら1番たくさん礼金をふんだくれる!」
「俺が先に見つけたんだぞ!引っ込んでろ!」
「マイフレンド!気をつけろソイツは嘘つきだ!」
「黙れこの野郎!」
「なんだと!テメーが黙れ!」
「ウキイイイイ!!」
っていうようなアホみたいなやりとりはもちろんありませんよ。ここはイギリスですからね。
先進国ならではのスムースなオペレーションですよ。
とはいえ、行き先のブリストル空港行きのバスは複数あるみたいでちょっと迷う。
よくわからんけど、昨日利用して安かったFirstってバス会社の窓口で代金を支払った。
ブリストル空港まで8ポンド。たっけ。
立派な教会が窓の外を通り過ぎる。
ブリストル、特に興味ない街だからスルーしたけど、まぁやはり車窓の景色は綺麗だこと。
煉瓦造りの家が連なった郊外を抜けると、広々とした平原が広がった。
狼と香辛料でロレンス達が荷馬車に乗って次の街への向かうときの、あの風景。
うとうととしてきた頃にバスは空港に着いた。
飛行機に乗らないのに空港に来るという不思議なやつ。
オスロ以来だ。
さて、お目当のレンタカー屋さんはどちらでしょう。
入国ターミナルというから中に入ったけど、俺の探している店がない。
Green Motionってやつ。
駐車場脇の格安レンタカーエリアも順に見て回ったのにやはりない。
あれー?
空港のフリーWi-Fiを使って公式サイトで住所をよく確認。
どうやら空港の外らしい。
駐車場から長ーーーーい距離を延々と歩いてようやく見つかった。
Green Motion。
プレハブと言ったら失礼かもだけど、かなり小さめのオフィスだ。
中は狭いけど小綺麗で、予約をしたことを伝えたらすぐに対応してくれた。
必要なものは普通免許証と国際運転免許証。
あと支払用のクレジットカードと身分証になるパスポート。
レンタカーのレンタル料は1泊2日のレンタルで30ポンドと安い。
ここにガソリン代が掛かったとしても、
レイコックとグラストンベリ―を回って、宿代の代わりになると考えれば格安だ。
日本の自動車免許だと発行年が西暦じゃなくて元号で書かれてしまっていて、
説明してもなかなか理解してもらえないというトラブル。
ググってくれてようやくわかったようだけど、次の問題。
支払には保証金というか担保のためにデポジットを払わないといけないそう。
クレジットで一度まとめて支払して、後から返金されるらしい。
まぁ仕方ないですね。
「デポジットね、1207ポンドよ」
1,207円?
はは、安いもんですね…
…1207ポンド??
1207×136=
…
164,152円???
高すぎるわ阿呆!!
レンタル料が5000円くらいなのにデポジットが16万4000円て!!
クレジットの枠が2か月で30万円あるけど、
飛行機代やら食費やらで月10万円は使うからそんなデポジット払ったら旅が出来なくなる。
というか残り16万円分残ってればの話だけど!
少し時間貰って、Wi-Fi繋いで利用可能残高を確認すると、約15万円。
はい、デポジットが払えませんね。
サヨウナラ。
…
む、無駄足(;´Д`)
幸いキャンセル料はかからなかったけど、往復3時間、無駄にしてしまったよ…。
オプションやら保険やらも高いし、レンタカーも考え物だなぁ。
再び空港まで歩いて戻ってバスに乗る。
はぁ、戻ろう。
また8ポンド支払ってブリストルまで戻った。
さて、まだ昼過ぎ、14時くらいだ。
レイコックに行くバスは朝晩しかないはずだからこの時間じゃもう無理。
地図を見てどこに行くかいくつかのパターンを検討し、
よし、グラストンベリ―に行ってみよう。
歴史的なライブコンサートが行われたってくらいしか知らない。
でもグラストンベリ―にはもう一つ重要な史跡がある。
それはグラストンベリ―修道院。
それを是非とも見ておかなきゃ。
そこからグラストンベリーまでバス代6.50ポンド。
こっちの方が遠いのに安いってどういうことやねん(´Д` )
超失敗した。
最初っからこっち来りゃ良かった…
グラストンベリー到着!
Town Hallっとこがグラストンベリー修道院の最寄りのバス停になる。
ほぼ目の前!
やったね!
はやる気持ちを抑えて木の扉のゲートをくぐり、入り口!
うおおお!!
…
閉まってる…
なんでえええええええ!!!
まだ閉館まで時間があるはず!
入場は30分前まででした。
ちーん
もう…
ほんっとうまくいかない…(ToT)
どうしよ…
とりあえず、一旦Wi-Fiを使えるカフェを探そう。
ってことで少し歩いたら、
なんかどう見ても魔法グッズでしかないものが並んだショーケースが目に入った。
一瞬目を疑った。
なんだこりゃ?
店の看板を見ると、「Cat & Caudron」。
猫と大鍋。
いや、完全に魔女でしょ!
ちょっと薄暗目の店内、レジではおばさんがひとりで編み物をしてるだけ。
こここ、これはヤバい店を見つけてしまったのでは。
イギリスにいる間にウィッカなりペイガニズムなりネオドルイディズムの魔女と知り合いたいと思って調べたりしていたけど、まさか急にこんな大通り沿いの店を見つけるとは思わなかった!
床に擦れて開きにくいドアを押し開けて店内に入ると、
どこかで嗅いだようなお香と乾いたホコリの匂いがした。
魔女の箒。
星座のステンドグラス。
ルーン文字を焼き付けた木のかけら。
長くて大きい杖もあれば、ハリーポッターに出るような20cmくらいの杖もある。
バーチ、ピーチ、オーク、パインと色んな種類の木材で。
どれも1本20ポンド。
さすがに安くはないか。
本も沢山あって、魔法物語かな、と思いきや、どれもガチの魔術関係書。
アレイスター・クロウリー、ジョン・ディー、ジェラルド・ガードナー、その弟子ドリーン・ヴァリアンテ。
俺でも知ってる有名人の本がこんなにあるううう!!!
入門編や基礎本、辞典的なもの。
ホワイトマジックの解説書も呪いの解説書もある。
気になったのは、なぜかエジプトの神話や魔術伝承に関する書籍が多いこと。
ペイガニズムではキリスト教以前の神々や地域伝承を重視するけど、
イスラム教以前の現イスラム教地域の伝承を探ったり祀ったりするケースもあるのか。
悪魔化されてしまったバアルやベルゼブブ、アモン、アスモデウスとか、
エジプト神話におけるラー、バステト、トト、ホルスなどを信仰の対象と再定義するのも、
考えられなくはない。
いやあビビるう!!マジでビビる!
卒論の時に散々探しまくって見つからなかったような情報がゴロゴロ、全部揃ってる感じ。
さすがイギリス!!
アーサー王の墓があるとされる町だけある!
あ、言っちゃった。
そう、アーサー王の墓があるのがこの町なのだ。
ファンタジーの街、そう呼んで恥じない。
ここにある本、全部読みたいけどそんなん当たり前に無理なので、
せめてどれかひとつでも買っていきたい!
と思って値段を見てみれば、50ポンドとか70ポンドとか、中には120ポンドなんてのも。
たっか!!!
そ、そりゃ専門書ですもんね…
高いに決まってますよね…
考えてみたらそんな分厚い本をこの旅で持ち歩くことも出来ないし、
またいつかに来た時のためにとっておくかぁ。
ネットじゃないと取り寄せないと思って諦めていた季刊誌のPagan Dawnの最新刊もあって、
そっちは安かったから買ってしまった。
え、ペイガンドーンって50周年なの?!
し、知らんかった(´Д` )
Witchcraft & Wiccaって雑誌も見つけたのでそれも。
合わせて6.75ポンド。
お店のおばさん、すごい優しくて丁寧な人だった。
店出てから思い出したけど、絶対おばさん魔女だよな。
他にもお客さんが来ちゃって混んでたけど、おばさんに魔女ですか?って声かければよかったなぁ。
Cat & Caudron、オススメです。
その後も少し歩いてみたら、もうその辺のお店、みんなその筋のお店だらけ。
占い小屋、
魔術的デザインの装飾品屋さん、
オーガニック&ベジタリアンカフェ、
オカルト本が充実した本屋、
トルコのランプと絨毯のお店。
もう鳥肌たちッぱなし。
なんなんだグラストンベリー!?
町の中心部にこの店が並んでるって!
ダイアゴン横丁かホグズミードにでも来たようだ。
もしかしたらイギリス中、いや世界中の魔女の聖地なのでは?
楽しすぎるな!
おっと、はしゃいでしまった。
その前に寝る場所を考えないと。
Wi-Fiを使えるところを探してThe Market Houseというバーに入った。
この辺のエールはある?と尋ねて出してもらえたのがChris Mooseっていう黒ビールだった。
控えめな甘さとコクがいいね。
おじさん客も、カウンターのおばちゃんも睨みつけるような目つきで見てくるもんだからなかなか迫力ある。
Wi-Fiパスも教えてもらって、ビールを飲みながら宿を調べてみた。
この町か、少し離れた辺りにホステルないかな。
多少は高くてもしょうがないかな…
と、思っていた。
15ボンド以内。なし。
20ポンド以内。なし!
30ポンド以内、なし!!
35ポンド以内………
なし!!!
マジでこの町、ホテルがたけぇ!!
地図を見ると、そこら中にホテルがあるのがわかる。
でもどこも1泊70とか80ポンド!
ありえねぇ!
エクスペディアとか他のサイトも使って確認したけど、安くても60ポンドくらいはしてしまう。
もっとも近くて安いところで、14kmも離れた、隣の隣の町だ。
それでも1泊、朝食無しで32ポンド。
なんということでしょう!!!
それならブリストルまでバスで戻ってもう1泊した方がいいレベル。
片道6.50ポンドだし。
い、いやでもブリストルでも1泊15ポンドだもんなぁ…
そうこうしてるうちにその隣の隣町に行くためのバスの時間も過ぎてしまった。
…
はい、野宿しましょうね。
うわあ。
氷点下まで下がりませんように(´Д` )
19:30まで粘ったけど、グラスが空になっちまった。
となりのケバブ屋に行って夕飯にドゥネルケバブを食べた。
5ポンド。
うぅ、自炊したかったのにな。
そのかわり肉は山盛り。
地図上にKing Arthurってバーがあって23時までやってるみたい。
その名前、絶対行くでしょ!!!
おうおう、良い雰囲気!!
中に入ると、愛想のいい、気さくなおじさん店員がハローと挨拶してくれた。
ほかに若い女性のお客さんもいて程よく賑わってる。
いいねいいね!
暖炉もあるし!
すげー当たりだこの店!
Midnight Magic(真夜中の魔法)ってタップビールが目に入った。
名前がいちいちツボに入りすぎる(´Д` )
この町は完璧に魔女と魔法使いの町だ。
ミッドナイトマジックも黒ビール。
花のようなフルーツのような、甘くて明るい風味
うんま。
これで4.05ポンド。
悪くない!
お客さんも、カッコいい服着た人が多い。
すげえええ。
暖炉で暖まりながら最近滞っていた日記を書いたり買ったばかりの魔女雑誌を読んだりした。
ビールをチビチビ楽しみながらブログを書いていると一人のおじさんが声をかけてきた。
深い皺、刈り込まれた白髭。
知的そうな風貌・顔つきだけど、
ほどよく赤らんだ頬が既に何杯かビールを空けたことを物語っている。
「よーう。一人かー。見ねぇ顔だな。何してんだい、この町で。」
「今は旅をしていて、今日この町に着いたんです~。
安宿がないんでテント泊するつもりなんですけど、それまでここで暖まってます(笑)」
「ほーう。旅か~、そりゃいいなー!
…なんだって?外に泊まるだって?オイオイ、寒いだろうがよ。今夜は雨は降らないっつーがね」
おじさんの名前はマーティン。
見た目は60歳くらいかな。
いつもこの店に1杯飲みに来るのが日課だそうだ。
「テント泊か…どこかあるかねぇ。
お、そうだ、ひとつ心当たりがあるぞ。
この先の道をあっちに行ってだな、突き当りを左に行くと広場があるんだ。
雨風を遮りそうな気も生えてるし、キャンプにはいいと思うぞ」
マーティンんん!!有力情報!!ありがとうございますううううう!!
「おうおう、あんたの旅の話を聞かせてくれよ。どこから来たんだい?この町には何しに?」
「えーと、僕は日本から来まして…」
思わぬ話し相手が出来て楽しく話し込んだ。
ロンドンやバースとは違う、語尾が滑らかにくっつく話し方。
あとみんなやたらとファッキンを多用する。
みんな。
イギリス英語でもファックなんて単語使うことにびっくりだわ。
「おっと、もう閉店の時間じゃねぇか。俺もそろそろ帰んねぇとな。
ちょっとダチんとこ挨拶してくるわ。そんじゃ、グラストンベリ―を楽しんでいきな。
酔っ払いが絡んですまなかったな。」
とんでもない!めっちゃ楽しかった!
マーティンも気を付けて!
グラスの底に残ったビールを飲み干して店を出た。
寒いけど、ちょっと湿気を帯びた変な風が吹いている。
何かが起きそうな、そんな不思議な夜。
町の中心から、マーティンの教えてくれた方角に進んでいく。
雲が早く流れて月の顔を遮る。
まだ車どおりも多い車道を渡って少し行くと、土手に囲まれて落ちくぼんだ広い広場が現れた。
周りを桜のような木が囲んでいる。
サッカーコートだろうか?
木は確かに生えてるけど、葉が落ち切ってしまっていてテントを隠してくれそうなものはあまりない。
ま、適当なところに立てるか。
落ち葉に埋もれた枝を放り投げてスペースを作り、通り行く車のヘッドライトから身を隠すように、テントの中にもぐりこんだ。
魔女の町、グラストンベリ―。
これは明日が楽しみだ。
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