Moi!
こんにちは、ロニーです。
年が明けたと思ったらもう2月が終わってしまいました。
仕事の方でもリリース時期が来ているので何かと忙しくしております。
さて今回は毎年恒例になっている、
昨年読んだ本の中からの、ロニー主観による
「読んで良かった本紹介」コーナーです!
ざっとリストアップしてみたところ、
全部で14冊がノミネートしたので、7冊ずつ前編後編に分けて紹介します。
人生を良い方向に変えてくれる、魔力のある本です。
2024年、読んで良かった本! 前編
- 限りある時間の使い方 人生は「4000週間」あなたはどう使うか? オリバー・バークマン
- 「具体⇄抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問 細谷功
- 子どもとの関係が変わる 自分の親に読んでほしかった本 フィリッパ・ペリー
- 利己的な遺伝子 40周年記念版 リチャード・ドーキンス
- イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」 安宅和人
- 世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 山口周
- 地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」 細谷功
昨年読んだ冊数は、217冊。
読んだというのは「読了した」ものとしてます。
なので読みかけは含めていません。
ただこれには絵本が64冊も含まれているので、
これを除外して活字本に絞ると、153冊。
2023年が101冊だったので結構増えましたね。
読書ペースは、
1ヶ月当たり平均約12.8冊。
1冊当たりだと、所要時間が2.4日程度。
これら153冊の中から、
「読んで良かった!」と思ったものを取り上げます。
限りある時間の使い方 人生は「4000週間」あなたはどう使うか? – オリバー・バークマン
1年通して、ずっとこの本が最強と思っていました。
死は誰もが逃れられないもので、人生に割り当てられた時間は有限。
それは散々語りつくされていることで、改めて言われても…と読む前は思っていました。
重要なのは、時間を「どう使うか」という部分。
週の大半を占めている仕事時間やくだらない浪費に使うことで、
確実に自分の人生が目減りしていることを、
どれだけ自覚できるか。そこがポイントになります。
「私の時間」をがっちり強くホールドしておかないと、
すぐ関係ないことに時間が消えて行ってしまう。
お金を稼ぐことだとか、
他者の夢なり野望なりを助けることに使うのも悪いことではありませんが、
無自覚で居るといつしかそれだけになってしまいがち。
明日自分が死ぬとして、その選択はベストだと言えるか。
そこを常々考えておく必要があることを、教えてくれました。
また本書で特に刺さるのは、
タイムパフォーマンスや生産性を意識したり、
目標達成やタスクを意識するのもまた、
自分の人生を本当の意味で謳歌出来ていないという事実です。
無駄をなくそうと思うと、
「目的ための行動」しかやらなくなってしまいます。
しかし、それはつまり未来のために生きているんであって、
今を生きていないという矛盾です。
本当の意味で今を生きて、豊かな人生とは、
意外にも掛け値なしの「楽しい」「幸せ」と思える無駄な行動の積み重ねだったりするんです。
「自分を大事にする」と「今を大事にする」。
今後の人生が変わるくらいの大きなインパクトを受けました。
「具体⇄抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問 – 細谷功
20代の頃に読んだ別の本の中で引用されていて、
具体と抽象という概要は理解していました。
しかし、実際には理解していた気になってただけで、
本当の意味では全然分かってなかったと、
読んで初めて理解しました。
もっと早く読んでいなかったことを後悔しました。
「抽象的」という意味でしかほとんど実生活では使われない「抽象」というワードですが、
日々のあらゆる物事を、
具体と抽象という構図で見るような習慣づけがされることで、
仕事も趣味も家庭も人間関係も、
あらゆるものの理解度が高まりました。
しかしその実感にもまだ落とし穴があります。
それが、「抽象度が低い人は、抽象度の高い人の考えが分かり得ない」ということ。
抽象度は人によって大きく異なって、階段のようにみんなそれぞれの抽象度を持っています。
具体思考の人と抽象思考の人の関係には、
そういったマジックミラーのような特徴があります。
そもそも人間には、
自分と他者を順位付けした場合、
自身を平均以上のランクに位置していると考えてしまうバイアスがあります。
そうすると、基本的に誰もが、
自分以外の人はみんな抽象度が低いと感じてしまいがちなのです。
英知の獲得を求めている僕としては、
あらゆる物事を深く理解できる「高い抽象度」は絶対的に必要な物です。
抽象度が高ければ良い、というものではなく、
具体的な視点と抽象的な視点を往還して必要に応じて視点を切り替えられることが大事ですが、
最大値が低ければ、その往還の幅も狭くなるわけで、
高い視点にスイッチできる能力は、やはり必要なのです。
あらゆる具体と抽象の関係性のパターンに触れることが抽象度を上げるトレーニングになりますが、
トレーニングを踏んだことによって自分が天狗になってしまって、
しかもそれに気づけない…という罠が常に付いて回ります
何事も具体と抽象という構図で見てみる習慣を、
謙虚さを胸にひたむきに続けていくことが、必要不可欠なのでしょう。
本書では抽象的な思考を鍛えるトレーニングが多く載っていて非常に読みやすく、よくまとまっているので、これより前に発刊されている細谷氏の2014年『具体と抽象 世界が変わって見える知性のしくみ』よりも本書の方が断然オススメです。
子どもとの関係が変わる 自分の親に読んでほしかった本 – フィリッパ・ペリー
本書の効能は3つあると思っています。
最も大きいのは、自分自身に掛けられた呪いに気付けることです。
人は皆、親からこの上なく大きな影響を受けています。
自分の記憶に残っている部分だけでなく、というよりそれ以上に、
自分の記憶にすら残っていない無意識な考え方や、感情の反応モデルのようなものが、
自分が幼少期に受けた親からの接し方を元にしているからです。
なおここでいう「親」というのは血縁関係があるかどうかではなく、
乳幼児期に自分と長く接していた人の方ですね。
自分が他の人との距離感をどう取るかだとか、
人に対して期待したり依存したり不満を抱いたり愛情を抱いたりする、
そういったあらゆる感情の基盤が、過去の親との関係性を礎にしている。
本書を読んで、
僕は自分が両親や兄弟、
幼少期に接していた祖父母、
居候の方などによって今の感情システムの大半が形作られていたことを理解できました。
これまでの友人や恋人関係などの中で、
うまくいかなかった部分、
指摘されたり苦言を呈された部分、
悩んでいた部分などの根源が、
見事に、主に自分の父との関係性から生じていたことに気付かされたわけです。
なんらかのバグを直そうとする場合、原因を知らなければ根本解決にはたどり着けません。
現状の悩みを解消するには自分の性格、行動を調整するのが近道ですが、
そのために自分の意識的・無意識的な感情や行動の原因を知ることが有益で、
そこに本書の効能その1が効くわけです。
2つ目の効能は、シンプルに、
自分が、自分の子供に対して、呪いをかけないように軌道修正できることです。
自分が子供に対して、
というかおそらく部下や後輩や生徒など目下の人に対して、
話す言葉、感情的になるポイント、叱る要因というのは、
大部分が自分が親から受けたことをなぞっています。
同じように、
自分がかつて先生、先輩、上司、恩師などから受けたことを、
自分が行動や感情の「基本」として継承しています。
これを知れば、ニュートラルな目で、
自分の体験という狭い枠組みではなく、本当に子供のための行動がとれるようになります。
子供の将来の幸せや自立心や感情を育てるためにも、
是非、全人類に読んでもらいたい一冊だと思っています。
3つ目の効能は、他者理解が進むことです。
人は親からの影響を受けて今の性格が形作られているとすれば、
それは自分だけでなく、他者もそうです。みんなそうです。
なので、コイツはなんでこんな考え方をするんだ?と思ったら、
そこにはその人の親からの呪いが隠れていて、必ずしも本人の責任だけではないと、一歩引いて見れるようになります。
だからと言って例えば、
パワハラ上司とかいじめっ子とか近所の変人の行動を自分が変えることはできませんが、
反射神経的に嫌な人間をシャットアウトしたり、
否定してしまうことは減るのではないでしょうか。
相手にも、相手なりのやむを得ない過去、事情がある。
そこを思いやることから、優しい関係性がスタートするのではないでしょうか。
とまぁ、これだけ多くの学びがある本です。
利己的な遺伝子 40周年記念版 – リチャード・ドーキンス
古典ですね。
辞書のようにめっちゃ分厚い本ですが、内容が面白いので飽きずに読み通せます。
愛とか友情とか思いやりといった、どこか根拠のない行動原理ってありますが、
生物の行動にはちゃんと理由があります。
太古の地球の海に生命の源が生まれてから、
魚や恐竜や原始人の時代を超えて、今に至る人間の遺伝子の軌跡。
単細胞生物でも、我々人間のような複雑で高度に発展した生き物でも、
みんな同じ原理の上で生きています。
そこにはコンピュータのゼロとイチの関係性のように無機質でシンプルな、
永遠に続く遺伝子の複製と、
ノイズが挟まって変位する可能性と、
比較優位で生き残るか絶滅するかという、各プロセスが共通しています。
親が、大事なはずの赤ん坊の泣き声にピリピリして気が逆立ったり、
浮気や不倫をする人が無くならず、むしろ時代によってはそっちがマジョリティになったり。
動物の種類によって兄弟間の結びつきが強かったり弱かったり。
そんな色んな、生物だからこその不思議な多面性が、すべて根本から理解できます。
夫婦関係、親子関係、コミュニティや国家間関係など、
すべての他者との関係を最適化しようと思ったら、
この本のことを理解することは必須だと思います。
親が子に呪いをかけてしまうのも、遺伝子のなす仕業であれば、やむを得ません。
未だに世界には宗教対立があるし、国家間・地域間の対立がある。
また愛した人同士であっても諍いが起きるし、親子間でも刃傷沙汰が起きたりする。
こういった人と人との対立は、遺伝子の仕組みからして、避けられないものです。
でも短期的には対立していてもそれが長期的には効果的である場合もあるし、逆も然り。
脳や社会、文明をここまで発達させた人類なのだから、大局的に見て他者との関係性を良好に保つべきじゃないでしょうか。
本能的に反応して争うなんて勿体ない。
そんなことを深く理解できるようになります。
イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」 – 安宅和人
特一級のビジネス書だと思います。
コンサル出身者が著しているビジネス書には、
どこか私生活、個人の幸せを捨てて滅私奉公するような考え方や資本主義を加速させる部分が強いため、
僕は常に一歩退いた目線で見るようにしています。
本書も例外ではないですが、
仕事に限らず、人生を俯瞰してみても意義があると感じました。
私生活や趣味の世界でも活かせる考え方です。
本書の主張を端的に言えば、
本当に価値のある、抽象度の高い最上位目的を見据えて、その課題を解決しよう、という話です。
その、一番大切な課題が、イシュー(ISSUE)というやつです。
自分に割り当てられたイシューは何か?
このプロジェクトのイシューは何か?
会社のイシューは何か?
自分の人生のイシューは何か?
ここにずっと心根を置いて、本当に重要なことに集中する。
これが出来ないと、「限りある時間の使い方」は出来ません。
世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」- 山口周
この本は、現在の日本の停滞の理由の一つを解き明かしているのではないでしょうか。
ITという論理、論理、また論理な世界で働いている自分だからこそ、本書が強く刺さりました。
サイエンス(科学)やクラフト(生産)は、基本的に再現性があります。
論理を積み重ねていて、その通りにすれば同じような結果を導き出せます。
そうなると、その世界では、いかに資本をそこに投下できるかという戦いになってきます。
一方、そういった消耗戦のようなレッドオーシャンから抜け出すためには、
アートが必要。そういった本です。
自分が、自分の心に照らして物事を美しいと思うかどうかの「美意識」には、
直観がモノを言います。
これは遺伝子に備わる特徴、本能的なものでもあるし、
自分が幼少期から積み上げてきた家庭環境や、読んだ本、勉強内容、見た景色や映画や音楽など、
全ての素材(経験)を放り込んだ大釜から生成された魔法のエキスでもあります。
論理のピラミッドの積み上げバトルで、日本は既に負けています。
そしてその論理対決は、既にルールを作った人の土俵で行われいて、そこで真っ向から論理で対決しても、何も勝ち目がありません。
確かにロジックは生産性を高めて、成果を出します。
それはそれで大切なこと。
しかしそれだけでは、
不正をしてもいいから勝つとか、儲けたもん勝ちのようなドロドロした社会になってしまいます。
豊かな心、豊かな文化、豊かな社会、豊かな人生というのは、
そうした無機質な論理の積み重ねだけではなく、
何が出てくるか分からない不確実性とか、
非合理なノイズとか、無駄な時間とか、
お天道様に照らして指針を決める清き明き心から生まれるものだと、僕は信じています。
それらを育むのが、アート、芸術というわけです。
遺伝子が生殖細胞を作る際にただ完全に複写するのではなく、
遺伝情報を組み替えていることを考えると、
こういった非論理的な部分が含まれた世界の方が本能的に居心地がいいだろうと想像できますね。
なお本書の最後で、絵画や哲学に多く触れろ、と提言されていますが、
個人的にはインプットだけだと効果は薄くて、
自分なりの創作的な行動を通して初めて、
心や頭の中の発想を現実化できるようになるのだと思っているので、
拙かろうと失敗で終わろうと、実際に手を動かして創作することが必須アクションでしょう。
地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」 – 細谷功
地頭というと、生まれ持ってのセンス的なものかなと、
読む前には思っていました。
そういうわけではないようです。
本書では、その漠然とした地頭力というものを因数分解して、
地頭力を得るには何が必要かを解き明かしてくれます。
本書によれば、頭の良さというのは、
「地頭力」と、「対人感性力」と「記憶力・知識」の3つの象限の組み合わせであるとします。
そしてその地頭力は、
「仮説思考」と「フレームワーク思考」と「抽象的思考」から成り立っているとします。
本書のタイトルに「フェルミ推定」というキーワードがあるように、
ポイントはフェルミ推定の際の要となる「仮説思考」です。
普段IT業界で働いていると、
分からないことが有ったらまず調べる、というのが原則的な習慣になります。
ITの技術やツールは日々刻々と更新されて新しいものが登場するし、
仕事に必要な論理のベースになる情報が莫大です。
全部を教えられるものではないし、常に必要な情報が手元にあるわけじゃない。
なので、知らないこと分からないことにぶち当たるのが当たり前で、
仕事のうちの半分は調べ物みたいなもの。
自分が当たった問題は、99%くらい誰か先人が解決してくれてます。
だからその解決策の糸口をさっさと調べて解決して次の壁を登る、
という作業を永遠に繰り返している感じ。
脳内に天使と悪魔がいたら、その二人が常に「ググレカス」って呟き続けてる。
そんな環境にいると、
調べれば答えがある。とりあえず調べよう。という考え方が徹底的に沁みついてしまいます。
でもこれだと、アートのような全く新しい発想が本当に出てこなくなっちゃう。
そもそも何か問いがあったら、
まずは「こうじゃないだろうか」と自分なりに仮説を立てて、
その仮説があっているかどうかを調べる、というプロセスの方が圧倒的に効率が良いはずです。
日々の生活のあらゆる判断ではそうしているはずだし、
読書だってそう。あたりを付けて本を選び、あたりを付けて読む方が早いし頭に残る。
それなのに、何か問題を解決しようとすると、
仕事で染み付いた「答えを探すクセ」が出てしまうんですよね。
だから意識的に、
今自分が持っている手札(知識)だけで、仮の答えをまず考える習慣をつけるのが良い。
そしてその仮の答えが合っているかどうか、
それで良いかどうかを検証する作業を素早く繰り返して回していくことで、
早期に問題を解決し、成果を出していくことが効果的です。
こういった思考回路は、論理的な発想と、
アート的な発想が両輪になっているように感じませんか?
コンピュータは論理と知識の怪物ですが、
AIはそこに偶然性まで盛り込んでいて、
美意識は無いにしても、一部アート的な要素が既にあるわけです。
人間が、人間のために、人間らしく生きていくためには、
従来の詰め込み式な知識以上に、地頭力や対人感性力が必要になることは、
言うまでもないことでしょう。
おわりに
2024年は自分の人生を変えるくらいの名著と多く出会えた1年でした。
なので今回、前編ではトップから7冊取り上げましたが、
思うことが多くてかなりガッツリ文章量を書いてしまいました。
どれもそれなりに重い本です。
それだけに、人生を確実に向上させてくれる先人の貴重な知恵が得られます。
なんなら休みを取って、家事を家族に一時的に任せてでも、読むべき価値のある本達です。
どれからでもいいです。是非読んでみてください。
英知をこの手に。
今回は以上!
モイモイ!
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