発病 -ツアーをキャンセルしてパレンケへ

2019年3月7日(木)

Mexico San Cristóbal de Las Casas 〜 Palenque
メキシコ サンクリストバル・デ・ラス・カサス  ~ パレンケ

 

3:35、目覚ましが鳴る。

ツアーの迎えが来るのが4:00なので急いで支度しなければならない。
着替えて、あとは電子機器類をカバンに詰めるくらいのものだ。

 

4:00ピッタリに玄関先に出た。
わざわざ起きてきてくれたエイスケさん。
玄関の外まで見送りに来てくれた。

10分もしないうちにコレクティーボがやってきた。
パパッと乗り込んで、エイスケさんと握手。

またどこかで会えたら会いましょう!
さようなら!

車が走り出す。

 

もう、その瞬間からなんか気分が悪い。
おいおい、これから山道が酷くなるってのに、乗った瞬間から酔ったか?
乗り物酔いするタチとはいえちょっと気が緩すぎる。

いかんいかん。
気を強く持たねば。

 

暗い街中をクルクル回りながら、少しずつツアーに参加する客を集めて回る。
俺のバックパックも車の上の荷台に乗せられた。

荷物を車上に乗せる人

減速用のバンプで車が跳ねるたびに、昨夜の唐揚げに練り込まれれていたに違いないニンニクの臭いがゲップとともに湧き上がる。

き、気持ち悪い…

 

酔いが治るのを待つのも虚しく、徐々に吐き気が強くなっていく。
ソカロ広場まで来て車が一度止まり、このあとのツアーの簡単な説明がされた。
俺以外全員スペイン語を話す人みたい。

少し停まっててくれたおかげで多少気持ち悪さが治ったかな?

と、思ったけど…

車が郊外に向けて走り出して数分。
ダメだ、もう無理だ。
マジで吐く。

迷惑はかけられない。
この具合の悪さじゃこれから数時間山道を走ることはとても不可能だ。
吐くのをこらえながらなんとか車を停めてもらった。

幸い英語を話せる客がいたおかげで通訳してもらい、その場に荷物ごと全部降ろしてもらった。

「タクシー呼ぶか?」

「いや、いいです。ここで少し休んでから自分で捕まえます…」

「いや、ここはあまり安全じゃないんだ。タクシーを捕まえてホテルまで戻ったほうがいい」

マジかよ…

「お願いします…」

通りかかりのオンボロタクシーに、ツアースタッフさんがホテルの住所を教えてくれたらしい。

後部座席で横になってるうちにまたペンションアレグレの前に着いた。
40ペソ。

うう、ツアー代450ペソ捨てた上に40ペソ上乗せか…

アレグレの呼び鈴を押すけど、今の時間はまだ4:50。
なんの反応もない。

息が浅い。
寒い…。
トイレに行きたい…。

宿の前にストールを敷いてそこに横になった。
寝たのか、意識を失ったのかよくわからない。

 

6:30。
空が明るくなった。
身体が冷えてこわばってる。
気持ち悪さが全く取れてない。

これはどうやら車酔いじゃないぞ。
吐き気、軽い腹痛、全身のだるさ、息の荒さ。

まさか、高山病か。
そうなるともう直すすべは、ひたすら休むか低地に行くしかない。

 

…よし、バスでパレンケに行っちまおう。

 

ゾンビのような足取りで、まだ店の空いてない通りを歩いていく。

そういえば俺のお気に入りのバターコーヒー、元々はチベットの飲み物だったな。
バターコーヒーは、寒さと低酸素でヘトヘトの時に振る舞われたバターコーヒーで生き返ったという、デイヴ・アスプリー氏の経験が元になってる。

ってこたぁ、今の症状には効果があるかも知れん。

どのみちバスに乗ってしまったらそこから4時間以上食事取れなくなるのだからと、途中でOXXOに寄ってコーヒーを買った。

向かいの公園で最後のバターを使い切った。
グラスフェッドバターの瓶にコーヒーとブレインオクタンオイルを流し込んで蓋を閉めてシェイク。
今までスプーンで混ぜるだけだったから、シェイクしたことでしっかり中和(ミセル化)してクリーミーな味わいになった。

うまい…

即席バターコーヒー

けどやっばり気分が悪い…
早々に飲みきってバスターミナルへ向かった。

 

始発便は7:15、チケットも他より安くて、250ペソくらい。
ダメだ、ほとんど記憶がねぇ。

 

バスは遅れて、7:30出発。
バスに乗る前に、同じバスでパレンケに行く高齢の親子が話しかけてきた。

スペイン語だからよく分からんけど、パレンケの宿が3人部屋で、3人で割ると安くなるから一緒にどう?って誘いだった。

見ず知らずの人をよく誘うなぁ笑

値段を聞いたら一人頭、300ペソ。
俺が調べていた宿は手数料込みで180ペソのかなり高評価なところだったから丁重にお断りした。

快適そうなバスに乗り込んで、すぐに横になった。

トイレもついてるし、エアコンもほどほどの寒さだし、モニターではご丁寧に映画、アニメ、歌番組をローテーションで流し続けてくれる。

 

すぐにバスは山道に入って右に左に揺れて頭を嫌というほど壁にぶつけさせてくれた。

車窓から見える路肩

数時間すると激しい急カーブが収まって、カーテンの隙間からは天気のいい陽光が差し込んでいるのに気づいた。

途中の街で休憩らしい。

高度が下がったことで息苦しさや吐き気は治ったのだけど、依然として胃の気持ち悪さと身体のダルさが残ってる。

売り子の子供達がたくさん乗ってきてスナック菓子やエンパナーダを売り込んでくる。
うおう、全く食欲わかねぇ。
食べられないよー

ノーグラシアスーって断るけどみんなしつこい!!全然引き下がらずこのお菓子はこういったものでね、いくらだよ、って説明してくる。

頼むからあっちいってくれ…

ひとりの女の子が焼きバナナを売ってて、それだけはかろうじて胃が受け付けそうだったから買ってみた。

えーと、

うん、やっぱ後でいいや…
外の景色が気になるけど、とても動けなくてそのまま横たわった。

 

総時間、6時間。

13:30になってバスはパレンケの街に着いた。

バスターミナルに転げ出て、そのままベンチでシェイクされた頭を落ち着かせる。

トイレを借りたら清々しい下痢だった。
うー、さっさと宿にチェックインして休もう。

いくつかホテルがあるけど、2番目に魅力的なところが徒歩300m先にある。
ありがたい。

 

あっつー。
完全に亜熱帯の気候になったぞ。

ホステルの正面玄関

ホステル、ハナーブ。

英語も通じる、丁寧で美人なスタッフさん。
水と石鹸とタオルのアメニティがついて、税込200ペソ。

おりょおりょ、ちょっと値段が上がりましたね。
ま、別にいいや。
というか今更他のところに歩く気力がない。

清潔なドミトリー。
ベッドに倒れこんで、

そのまま意識を失った。

清潔なホステルの2段ベッド

 

夕方ごろになってまた下痢が始まった。
おいおい、もう高度は下がったはずなのになんなんだよ。

胃の気持ち悪さは転じて胃炎の時のような胸焼けの痛みに変わってる。

吐き気はないけど、首筋や額が熱を持ってる。
これは体温計で測るまでもない。

カップに入った焼きバナナ

食欲がないけど、夕飯にバスの中で買った焼きバナナを半分食べた。

濃縮された甘み。
別に、美味しくはない、かな…

座ってられなくて汗をかきながらまたすぐベッドに倒れこんだ。

 

急に便意が来てはトイレに駆け込む。

もはや水。
下痢というより水。
腸に炎症が起きてるのか?

 

トイレとベッドをただ往復する。

パンツ一枚汚した。
介護の仕事を思い出した。

1年前まで、毎日のように他人の便処理してたなぁ。

これ感染性のウイルスとかだったら次亜塩素酸ナトリウム水が必要だなぁ。
塩素ってスーパーに売ってるんかな。

シャワールームで汚れを落として水気を切ってビニール袋にしまう。
どっかで洗濯できるかな。

予防策としてペーパーをパンツの中に忍ばせた。
オムツあったら便利なのになぁ
なんだこの状況…

 

 

やがて日が暮れて、他の同室のお客さんたちも戻ってきた。
顔も覚えてない。

 

いつのまにか夜になってたようだ。
みんなを起こさないように静かにトイレへ駆け込む。

 

一体俺の身体に何が起こってるんだ。

トイレとベッドを往復している間に日が越えた。

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