2019年1月29日(火)
USA Los Angels
アメリカ ロサンゼルス にて
バスが大きなカーブを繰り返し、ガタガタと上下に大きく跳ねた。
ハイウェイから街中に入ったしるしだ。
「まもなく終点のロサンゼルスターミナルに着きます」
というアナウンスからほんとに間も無く、バスは定刻通り到着した。
ね、眠い…
時刻は5:20くらい。
もちろんまだ真っ暗闇だ。
到着バスターミナルのすぐ近くに、行きたいと思っていた店がある。
時間をチェックすると、なんと朝6:00オープン!
グッジョブ過ぎる!!!
6:00くらいまでターミナルのWi-Fiを使わせてもらってその店へと向かった。
ターミナルの床で寝ようとしていた人が即座に係員達に叩き起こされていた。
人気がなくて無機質な暗い通り道。
あちこちに落書きがされていて、荒廃した感じはないけど、やや警戒心をあおる。
15分歩いたところにその店は見つかった。
Bullet Proof Coffee
バレットプルーフコーヒー!!
よくあるオシャレなカフェでもサードウェーブ系でもない。
ベストセラーとなった本、
『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』
においてその看板となっている、
「完全無欠コーヒー(Bullet Proof Coffee)」 を提供しているお店だ。
しかも代々木の「最強のバターコーヒー」とは違って、
著者のデイヴ・アスプリーが経営する会社が直轄で運営しているのだ。
デイヴ・アスプリーは元シリコンバレーの起業家。
仕事のパフォーマンスを改善するために、徹底的に食事を見直し、科学とデータをもとにして生み出した最強のダイエット法を紹介しているのがこの本だ。
日本語訳の本ではそのタイトルから、
「シリコンバレー+最強の食事→仕事のパフォーマンスを上げる」
のイメージで捉えられるが、原題はBullet proof Diet、つまり「最強のダイエット法」だ。
なぜ、こんな、誤解を生むような訳をしたのか。
アメリカでは肥満が一番の敵とされているが、日本はそこまでではない。
だから日本で売るなら、肥満改善よりも仕事能率を上げるという点を強調した方が販売に都合がいい、と訳者が考えたに違いない。
まぁ間違ってはいない。
事実、作中では仕事の能率を上げるということにも効果があると謳っている。
豊富な論文や最新の研究結果を多く取り入れている部分は一目置ける。
ただ、注意すべき部分はある。
あえてセンセーショナルな書き方をしている点と、
一部科学的で普遍的な実証ではない、デイヴ氏一個人の体験を、
あたかも効果の証拠のように書いている点だ。
ここはきちんと線引きをした方がいい。
それでも今までに読んだほかの健康本などとは一線を画して、
自分で試してみて効果が見込まれるから現時点では信用している。
俺も旅前までの半年以上、バターコーヒー生活を続けていたけど、それなりに効果はあると感じているからもっと続けたい。
さて自己流のバターコーヒーと違ってホンモノはどうなのだろう…!
通常サイズのバターコーヒーが4.75ドル、ラージサイズは5.75。
そこにコラーゲンプロテインのパウダーを足したものは1ドルずつアップする。
さすがにやはり高い。
けど代々木の店より安い。
コラーゲン入りなんてのは初耳だったからそれをいってみた。
ラージサイズで。
見た目は普通。
味は、
うん!
うまい!
懐かし!
半年ぶりか!
よくミックスされてるから、自宅で自分で作った時と違ってきちんとクリーミーなカフェラテ風になってる!
オイルの油っこさなど微塵もない。
コラーゲンが入ったからといって特別美味しくなったりとか飲みにくくなったりとかはしていない。
…と思う。
ここのベーシックの味を知らないから単純比較はできない。
昨日あまりちゃんとした食事を取れてなくてかなり空腹だったのだけど、二口程度ですぐに飢餓感はなくなった。
これは期待できるな!!
いわゆる「バターコーヒー」では、市販の普通のバターは使わない。
グラスフェッドバターといって、穀物ではなく、牧草で育った牛から取った牛乳だけを使って作った無塩バターを使う。
安く肥やす為に穀物を飼料としている従来の牛の乳とは180度違って、身体に悪影響を与える反栄養素が無く、純粋なエネルギーを供給してくれる。
正確にはバターの純度をさらに高めたギーを使う。
そこにMCTオイル、ココナツオイルなどを加えたのが最強のバターコーヒーで、身体の余分な脂肪を燃焼し、頭をクリアにし、ガス欠しない活力と集中力を供給するのだそうだ。
正直ガス欠しないってのはウソだろ、と自分で試して実感しているのだけど、
糖質やグルテンを取る一般的な朝食に置き換えてみたところ、
集中力の持続や眠気を飛ばす効果は抜群に高かった。
カフェ店内にはデイヴ氏の著作や、自宅で飲む用の各種材料が売られている。
公式サイトから直接ネット購入も出来る。
(公式Web) Bulletproof Coffee
※お店の公式サイトがちょっと見つからなかった。
サクサクの無料Wi-Fiがあるので明るくなるまでコーヒーを楽しんだ。
貴重な朝の時間、勉強に当てるべきなのだけど、バス泊による眠気が酷すぎて頭が働かない…
寝てしまわないように、考えなくても済むSNSや漫画やメルマガのチェックをして過ごした。
10時過ぎた。
すごい、本当に腹が減らない。
糖質を取ってないから血糖値スパイクによる眠気もない。
寝不足疲れはどうしようもないが…
さすがに空のカップを前に3時間も居座ると居心地悪くなってくる。
グラスフェッドギー(13.5oz)とブレインオクタンオイル(16oz)を買った。
ギーなら1日2匙で1ヶ月、ブレインオクタンオイルは1日1匙で3ヶ月は保つ。
ここからは旅後の仕事に向けてガチで集中していかないといけないから、集中できる環境づくりをしていかねば!
ギー、22.95ドル。
オクタンオイルは19.99ドル。
税込約47ドル。
お会計でまたしても出てきましたよ、チップ選択画面!!!
ぐ、ぐ、ぐぅ…!!!!!
ぬああああああ
チップ無しボタン押せなかったああああああああ
マジで精神が弱すぎるううううう!!!!
え、ってか商品購入ってチップ要らんでしょふつう?!!
チップってサービスに対するものだよね?!!!
スーパーでネギ買ってチップ乗せる?!!
乗せないでしょ?!!
何をトチ狂ってるんだ俺はああアアアアアアア!!!!
チップ代、7.05ドルを無駄に支出。
精神的に死亡。
マジでこのチップ文化嫌い!!!
ホントやだ!!!
払ったら懐が痛い。
払わないと心が痛い。
商品を買った直後、このお店のことを確認しようと思ってウェブサイトを見たら、デイヴ氏の新作著書発売を記念してサイン会があるというニュースが出ていた。
ここロサンゼルスにあるもう一方の店舗、サンタモニカ店にて、1月31日昼。
うお!明後日やん!!
行きたい!
え、でもその場合、本を買わないといけないのか…
欲しいけど荷物…
で、その下の文字を読んで目を疑った。
この日、
12:30〜14:30限定で、
全商品(メニュー品以外)が、
25%オフ…
くげゃあああああああああああああああああああああああああ!!!!!
今5500円くらい使ったところおおおおお!!!!
25%オフどころかチップ乗せて15%増しで!!!
うあああああああ2000円も損してるううううううううううう!!!!!!!
金運なさすぎ!!!
いや、運のせいにしちゃあかん!
財布の紐が緩すぎ!!!!
うおおおおおおおええええええええええええええええええええ!!!!
頭にバグがあり過ぎる!!!
くっそおおおおお!!
完全無欠コーヒーガブ飲みいいいいいいいいい!!!!
店の外に出たらさすがにもう明るくなってました。
昼ですもん。
宿のチェックインは12時。
まだ2時間くらいある。
ロサンゼルスのオススメカフェを片端から調べたのだけど、なんとこの辺にほぼ全て固まってる。
このアーツディストリクトってエリアがカフェのメッカのようだ。
Ground Work Cafeにやってきました。
満席近いくらいに人でいっぱい!
みんなパソコンから手帳に向かっていて各々仕事に熱中している。
これは気合入るな!
(公式Web) Ground Work Coffee
スモールサイズのカフェラテ4.25ドル。
ラテアートがうまい。
スッキリとした苦味と甘味、ミルクの濃さが特徴。
口に残る味。
Wi-Fiはあるけど混雑してるのか結構遅め。
正午を回ったので宿へ!
メトロでtapカードというのを買った。
紙の切符は廃止されていて、乗るためにはこれがないといけないそうだ。
カード代2ドル。
でも電車賃は1回1.75ドルと比較的安い。
2時間有効らしい。
やはり安い。
ケルンぶりの大きな駅、ユニオンスクエア駅で乗り換えて、ウェストレイク・マッカーサー駅で降りた。
目の前に大きな公園がある。
マッカーサー公園というらしい。
マッカーサーって、Mac Arthurって書くのか。
日本では悪名高いマッカーサー元帥の名前の中に英雄アーサーの名前が入ってるってのは、なんか複雑な気分です。
この公園がどこのマッカーサーさんに因むものなのかはわからんし、GHQ総帥のマッカーサーも俺個人にはなんの関係もないわけで、時代を超えた俺がその人に負のイメージを持つのは宜しくない。
芝生とヤシの木に囲まれた公園に、カモがのどかに浮かんでいる。
スペイン語の話し声とハングル文字の看板が多い地区を通って、宿を見つけた。
看板のない、青い壁の家だ。
門の向こうの壁の張り紙にWidblue Hostelの文字が見えた。
チェックイン。
管理しているのは中国人の柔らかい雰囲気のおばちゃん。
メリットシャンプーの匂いがする。
名前を書いた名簿に載っていた他の泊り客は、チェコ人2人とアメリカ人2人だった。
今はみんな出払っているのか、泊り客という中国系のおじさんが1人、玄関先に座ってうたた寝しているだけ。
なんだか、イメージにある底抜けに明るいロサンゼルスのイメージがないなぁ。
照りつける太陽、水着の人たち、テキーラにビール、音楽と笑い声…
そうなんだよな〜
今まだ1月なんだよな〜
寝不足で身体が動かない。
30分のタイマーをセットして仮眠をとった。
…
テンテン テレレン♪
よし、復活!(^o^)/
考えてみたら朝にバターコーヒー飲んだだけで、昼飯を食べてない!
腹ペコすぎて幽体離脱しそうだ。
ピッツバーグで試しに買ってみたチーズマカロニを作った。
マカロニをお湯で茹でてから、バターと牛乳とチーズパウダーをかけて、
煮詰めれば出来上がり。
うん、マズイ。
残すのが嫌で全部食べ切ったら少し気分悪くなってきてしまった。
オエッ。
なんか身体に熱がある気がするなー。
他に症状はないのだけど。
日が暮れる前に散策に出発!
16:30過ぎともなるともう夕日だな。
バスとトラムを乗り継ぐ。
バスは渋滞で遅延。
メトロもノロい…
日本の公共交通機関のクオリティの高さよ…
着いたー!
サンタモニカビーチーーー!!!!!!!!!!!!
ってえええああああ日が暮れてるううううう!!!!!
夕陽見にきたのに!!!!(´Д` )
なんで?!
天気予報のアプリを見たら、日の入りが17:15。
あああっ!!!
そうか、サンフランシスコより南東に移動してきてるから日の入りの時間が変わってしまったのか?!ozn
歩いていくとヤシの木とサンタモニカピアの入り口が見えてきた。
交差点でジェフベックのバラードみたいな良い音のギターを弾くバスカー。
おー、レベル高い。
あんなギタリストとジャムってみたいなぁ。
桟橋を進んでいくと、湘南のような車の行き交う海岸通りを超えてからビーチが見えてきた。
暗いのに意外と写真撮れた。
不思議!
桟橋にはレストランや出店屋台だけじゃなく遊園地がある。
カラフルなライトがクルクルと回ってデート道を彩ってる。
桟橋の上には他にもキーボードボーカル、ギターボーカル、ピンのボーカルが2組、無数のイラスト売りがいて、いろんな音楽が混じり合ってる。
みんな結構レベルが高い。
ドラムやってるバスカーはいない。
ドラムセットは持ち運びに難がある。
やるとしたら地元の人が地元でやることになるだろうけど、多分いつもやってたら地域の人はすぐ飽きて、ただの風景になってしまうだろう。
かといって場所を変えるには、車か台車が必要になってくる。
車に積んでのドラムバスキング旅も不可能ではないだろうけど、いい立地のすぐ目の前に駐車場があるとも限らない。
駐車場から演奏場所まで1回で全ての楽器を運ばないといけないってのハードルが高いよな。
つくづく、ドラムはバスキング旅に向いてないなと実感する。
リズムトラベラーシリーズのキットってどれくらい持ち運びしやすいのかな。
無数のカップルが寄り添ってる危険な突き当たりのエリアはサッと写真を撮るにとどめて引き返した。
危険だ。生命力を奪われる。
野生のカップルが群集しているエリアに長居は禁物だ。
再び桟橋に入り口の交差点にて。
さっきのギタリストがムーディなフュージョンバラードをソロ演奏している。
シンプルなフレーズをループで回してその上にソロを乗せている。
服装も綺麗だし、エフェクターもたくさんあるしパイプ椅子もアンプもある。
旅人って感じではないな。
日本人ぽいけど、韓国人にも見えなくない。
チップを入れてからしばらく近くで聴かせてもらった。
超シンプルなベースラインを15分くらいずっとループする形だから、レストランの席から聴き流したりするにはいいけど、ジッと聞くにはちょっと物足りないかもなぁ。
追加で小銭のチップも放り込んだ。
弦を爪弾きながら顔を上げた彼がニコッと笑った。
日が暮れてグッと寒くなった。
上着なしではキツイ。
近くのマクドナルドでハンバーガーとコーラを買って夕飯にして、帰りのトラムに乗った。
黙りこくった乗客を乗せて、トラムはまたゆっくりと走っていった。
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